電子化は雑誌の“救世主”になるのか?

2010.03.29

経営・マネジメント

電子化は雑誌の“救世主”になるのか?

ITmedia ビジネスオンライン
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出版不況が深刻化している昨今。電子化の波に乗ろうと、各社が雑誌のデジタル配信に取り組んではいるが、成功しているところがあるとは言いがたい。雑誌が生き残るためにはどうすればいいのか? その条件を考えてみた。 [郷好文,Business Media 誠]

 社団法人日本雑誌協会主催の“雑誌デジタル配信”の実証実験「parara(α)」に参加した。同協会に所属する講談社や小学館など58出版社、91誌のバックナンバーを2010年2月1日から月末までデジタル配信して、モニター読者から意見を抽出するというものだ。

 Scribd、Kindle、Appleなど電子出版の“黒船群”への、業界を挙げての電子化対策とも言える。「感想は公知にしない」という条件で参加したので詳しく紹介できないのだが、ひとことだけ。「雑誌を電子で読むのは違和感あり」。電子雑誌と紙雑誌、何がどう違うのか? 雑誌の魅力とはどんなものなのだろうか?

電子雑誌は紙雑誌の救世主なのか?


 電子化の背景にあるのは「雑誌が読まれない、売れないこと」。統計を見るまでもなく、電車の中でも雑誌を読む人はずいぶん減った。書店の雑誌コーナーは空いているし、自分も雑誌を買う機会が減った。情報はネットで十分、少子高齢化で読者層も変化し、今や返本率は50%に達する。

 だからといって電子化が紙雑誌の救世主なのだろうか?

 ネットがらみの雑誌サービスはいろいろある。「MAGASTORE」はiPhoneや携帯端末で読む電子雑誌サービス。「雑誌オンライン」はネットでパラパラして印刷物を注文する。「富士山マガジンサービス」は印刷雑誌の定期購読の受注サイト。電子・紙いろいろだが、まだ大ブレイクしているものがあるとは聞かない。まして出版社主体の電子雑誌サイトは失敗の山だ。

 ブラウザ(拾い読み)と言うくらいだから、パラパラ読みの雑誌にネットはぴったりのはずなのに、どうしたものかマウスオーバーしてのパラパラがぐっとこない。経済誌や学術誌など情報収集ならいい。かさばらないし保存できるし検索も便利。印刷だってリアルな雑誌にはかなわないが自分でできる。でも……なぜか読みたいという気にならない。iPadやKindleならくつろげるのだろうか? 慣れの問題なのだろうか?

電子と紙雑誌は別モノ?


 紙雑誌で読者がしていることを列挙してみよう。

読み方:くつろぎ読み、パラパラ読み、ちょこ読み、立ち読み、車中読み、ながら読み、ナナメ読み、速読、再読、輪読、積ん読

感じること:重さ、質感、匂い、色、音(ページめくり)

読みながらすること:書き込む、端を折る、破いてメモる、何かを挟む、丸めて持つ、丸めて叩く、広げてあおる

思わずやること:雨傘、日傘、庇、印鑑台、カッター台、椅子(積んで)、土瓶敷き、すし飯あおぎ

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