2009年8月に「食べられるラー油」をコンセプトに発売し、ラー油分野のシェア十数%から60%近くまでを制圧したという、「桃屋の辛そうで辛くない少し辛いラー油」。今なお、店頭では品薄が続き人気沸騰中である。そんな商品に対抗してヱスビー食品が参入してきた。「ラー油戦争」はどうなっていくのか?
モノ作りだけではない。幅広い製品ラインナップを持っており、チャネルへ働きかける力も強い。記事にも<流通側からも弊社への期待があったので、今回新たに発売することになりました>と広報担当者のコメントがある。
3CのCustomer(顧客)はヱスビーにとってはPlace(チャネル・販路)と、そこで購入する消費者の両方を意味するが、まずチャネルからの要請もあり、大量に商品を店頭に供給して棚を確保することが可能である。そして、「桃ラー」の品薄で買えない消費者がいることから、商品を手に取らせることも可能であろう。
Promotion(コミュニケーション)はどうか。「桃ラー」はロックバンド・怒髪天の増子直純を起用したCMで注目を集め、それもヒットの大きな要因になった。しかし、店頭で品薄となって、「CMを見ても買えない!」という状況を回避するために自粛をしている。現在、増産が追いついてきたようだが、まだ、チャネルによってはまだら模様の状況だ。CM全面解禁にも踏み切れないだろう。ヱスビーのラー油は22日発売とのことなので、恐らく発売と同時に広告の大量投下が予想される。
規模に勝る企業がその体力を活かして「同質化」を仕掛けるのは戦略の定石だ。このままだと「桃ラー」はヱスビーの追い上げでこのままだとピンチに追い込まれることになる。
但し、FMA(First Movers Advantage:先行者優位)は「桃ラー」にある。ネットを通じてしっかりブランディングができている。比較されても「元祖」を選ぶ消費者も多いはずだ。
価格面での不利はいずれ値下げか増量で調整するとしても、まずは本当に手に入らない「幻の商品」で終わってしまうのではなく、増産を進めて配荷を順調にするのが勝負の土俵に残る条件だろう。ここ、1~2週間が勝負のしどころであることは間違いない。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。