伊藤園からボトル内の「天然水」と「抹茶入りキャップ」に入った抹茶を振って混ぜ合わせることで、新鮮な抹茶飲料を作って楽しみ、味わう「お~いお茶 ふっておいしいお抹茶」が発売される。しかし、実はこの商品の市場投入は今回で3度目だ。その狙いはいったい何なのだろうか?
伊藤園には野菜ジュースもあり、コーヒー飲料では2006年に資本投下して傘下に収めた「タリーズ」のブランドを用いた商品を展開するなど強化を続けている。しかし、 なんといっても茶系飲料が生命線であることは間違いない。故に<緑茶飲料市場の活性化>という同社の狙いは正に死活問題であるわけだ。
飲料の新商品は「千に三つ」ともいわれる多産多死である。なぜなら、差別化が極めて難しいからだ。飲料の中核価値は「のどの渇きを癒す(止渇効果)」である。では、どのように渇きを癒せるのかという実体価値は「美味しい・スッキリする(嗜好性)」だ。ほぼ、このあたりまでで、勝負は決まる。中核価値と直接関係はないは、商品の魅力を高める要素である付随機能を付加するとしたら、特保飲料のように「やせられる・健康になれる」というような要素ぐらいだ。
その中で、今回の「ふっておいしい抹茶」は<「ふって・つくって・飲んで」楽しめる>という付随機能を付加して、「自分で急須で淹れるお茶」とも異なる価値を高める狙いだと解釈できる。
恐らく、同商品はコンビニの棚で1フェイスをかろうじて確保するぐらいの存在ではないだろうか。しかし、そこにはマーケターの狙いや、メーカーとしての願いがいっぱいに詰め込まれているのだ。
そんなことを考えながら、是非一度購入して「ふって・つくって・飲んで」みてはどうだろうか。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。