宮本茂氏の設計哲学~よくできたゲームと面白いゲームの違いは(2)

2010.03.08

経営・マネジメント

宮本茂氏の設計哲学~よくできたゲームと面白いゲームの違いは(2)

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マリオシリーズや『Wii Fit』などで世界的な支持を獲得している任天堂の宮本茂氏。ゲームデザイナーとしての30年間の業績が評価され、第13回文化庁メディア芸術祭では功労賞が贈られた。受賞者シンポジウムでは、エンターテインメント部門主査の河津秋敏氏が聞き役となり、宮本氏が自身のゲーム設計哲学を語った。 [堀内彰宏,Business Media 誠]

 『スーパーマリオ64』ではマリオを3Dにすることで、インタラクティブな魅力がすごく出たと思うんですね。当時、僕はハムスターを家の中で放し飼いにしていたのですが、縦横無尽に走り回るのがかわいくて、「それと同じようにマリオを走らしたい」とか思っていたのですが、「難しい」「3Dで酔ってしまう」とかいろんな人がいました。

 そこで、「マリオは誰でも触れるゲームにしたい」という思いがあるので、球体を使って重力の中心を1点に置いた『スーパーマリオギャラクシー』(2007年)を作りました。3Dでは走っていくと、自分がどこにいったのか分からなくて迷うんですね。また、ラジコンと一緒で手前に方向転換して走ると、左に曲がるためにどちらの方向のレバーを押したらいいのか分からなくなるということもあります。

 それが球体の上に乗っていると意外と楽なんです。球体の上をただ前に走っていても、もとのところに戻るので迷わないんです。それなら重力をもっといじってみようということで、複数の球体それぞれの中心に重力があるということにして、球体と球体の間を飛び回っていくというアクションゲームにしました。誰でも遊べるようになったのですが、「やっぱりアクションゲームって好きな人じゃないと難しい」と言われたりもします。

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