日本の国民食である「カレーライス」。そのNo.1チェーンといえば誰もが知る「ココイチ」こと、CoCo壱番屋である。この10年間で、店舗数は約600店から1200店と倍増。売り上げは約400億円から700億円と1.75倍の成長を遂げている。そんなココイチの成長にも黄色信号が灯りはじめた。その生き残りの秘策は成功するのか?
オリジナルメニューで魅力を演出。これは言うは易く行うは難しである。特に、カレー店のココイチにとってはだ。中華なら豊富な食材や調理方法がある。しかし、ココイチにはカレーしかないのである。しかも、ココイチのカレーは極めてスタンダード。当たり前なメニューを温かく提供することが同社のポリシーであり、注文を受けてから小鍋で暖めることにそれが表れている。しかし、特別な技は持っていない。厨房の調理器具や食材も限られている。その中で「ストアレベルマーケティング」を実現することは、いかに知恵を絞らねばならないか想像に難くない。
<朝粥や白玉ぜんざいパンも売る「名駅サンロード店」>(同)の「粥」は「おや?」と思うかもしれない。実は壱番屋には08年に1店舗だけオープンさせた新業態店「粥茶寮 kassai」(かゆさりょう かっさい)」が同じ名古屋ある。そのノウハウを転用しているのだろう。同店ではカレーパンをはじめテイクアウトメニューを揃えているが、店舗外の地下街通路側に面して設置されるレジを配置するなど、人通りの多い地下街という地の利もしっかり活かしている。
他店も負けてはいない。<岐阜県限定! アツアツの鉄板にルーをかける「鶏(けい)ちゃんカレー」>(東海ウォーカー)が人気だというが、新たに導入しているのは食器の鉄板だけで、あとは工夫の産物だ。
同じカレーパンもバリエーションに変化を持たせている店舗もある。<ココイチ矢場町店限定「ココ矢バーガー」、人気沸騰で販売期間延長へ>(サカエ経済新聞) http://sakae.keizai.biz/headline/1195/
元々は従業員用の「賄い」として開発したものだというが、<「トンテキハンバーグ」のタレに付けたトッピング用のハンバーグとレタス、マヨネーズを、ほどよく焼いた「焼きカレーパン」を半分に切ったものに挟み提供している>という。これもまた、創意工夫の賜だ。
ビジネスに制約条件はつきものだ。また、苦しいときほど他との差別化をして成長を図るチャンスでもある。CoCo壱番屋の「ストアレベルマーケティング」の涙ぐましい努力から学ぶものは多いはずだ。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。