マリオシリーズや『Wii Fit』などで世界的な支持を獲得している任天堂の宮本茂氏。ゲームデザイナーとしての30年間の業績が評価され、第13回文化庁メディア芸術祭では功労賞が贈られた。受賞者シンポジウムでは、エンターテインメント部門主査の河津秋敏氏が聞き役となり、宮本氏が自身のゲーム設計哲学を語った。 [堀内彰宏,Business Media 誠]
でも、世の中分からないもので、それからファミコンが売れ始めました。それまでおもちゃ業界では、「年末に日本で100万個売る」というのが成功の1つの指標でした。ファミコンは『スーパーマリオブラザーズ』が出る前の3年間ほどで、毎年100万台以上を売っていましたからもう大成功している。マスコミは「そろそろファミコンは終焉か」と言っている時代です。僕らもそれに乗せられて、「ディスクシステムが出るので、そろそろファミコンは最後かな」と思っていました。
そこで、『スーパーマリオブラザーズ』が出ると、今振り返ればそこから初めてファミコンがはやったということになります。それまではごく一部のおもちゃ好きの人が買っていた機械だったのですが、『スーパーマリオブラザーズ』が出て、初めて世の中全体がビデオゲームをするようになりました。『スペースインベーダー』以来、久しぶりにゲームをするようになった。
このタイミングで日本では『ドラゴンクエスト』(現スクウェア・エニックスのエニックス、1986年)が発売されて、大ブレイクするわけです。ただこの時はまだ日本だけのブームなので、それから海外に出て行きました。
~宮本茂氏の設計哲学~よくできたゲームと面白いゲームの違いは(2) ~に続く
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宮本茂氏の設計哲学
2010.03.08
2010.03.01