私が生まれ育った福岡の片田舎に、 小さな個人商店がありました。 まだろくにスーパーもなかった頃からの店で、 地元のいわゆる「よろずや」的存在。 近隣の主婦たちが買い物カゴを下げて毎日買い物をし、 同時に何時間も油を売りに行く場所。(笑)
コンビニ並みの広さでしたが、
生鮮三品(肉、魚、野菜)から日用雑貨まで
一通りなんでも置いてありました。
店を切り盛りしていたおばさんは、なかなかの目利き。
質のよい生鮮品を仕入れてくると常連客から評価されてました。
ただ、良くも悪くも昔ながらの商売人でした。
古くなって明らかに味が落ちている肉や魚を
まだ経験の浅い、若い主婦に言葉巧みに売りつけていたのです。
傍で見ていたベテランの主婦(私の母など)は、
「そんなことはしないほうがいいよ」
と忠告していたそうですが。
その結果がどうなったかは知りません。
おそらく、実際料理したらおいしくないことがわかった客は、
わざわざ車を使ってでも、他の店に行くようになった可能性が
高いですよね。
さて、この店も今は代替わり。
スーパーの攻勢にもさらされていますから、
以前のような商売はやってないでしょう。
さて、個人商店だけでなく、大手のスーパーでも、
賞味期限切れの商品に、新しい賞味期限のシールに貼り替える
ということを平気でやっているところがあると聞きます。
店舗型ビジネスは、
商圏内の顧客からそっぽを向かれたら終わりです。
立地を簡単に移すことはできませんから。
でも、「見つからなければいい」という考えなのでしょうか、
平気で顧客に対して不誠実な行為をやっているのです。
しかし、中堅スーパーの「OKストア」だけは別格です。
OKストアの店頭に行くと、
「オネスト(正直)カード」
というものを目にすることがあります。
このカードには、まさに正直に事実が記入されています。
“この商品は来週24日からセールで安くなりますので、
それまでお待ちになったほうがお得です。”
“このグレープフルーツ(南ア産)は、フロリダ産の
食味を100点とすると70点です。
蜂蜜をおかけになってお食べください。”
こんな文章を読まされた顧客は、
購買意欲が確実に低下しそうですよね・・・
でも、実際にはそれほど売り上げが下がるわけでは
ないそうです。
他の店では、こうしたネガティブな事実を
わざわざ顧客に伝えようとはしません。
短期的な売り上げ低下が怖いからです。
しかし、あなたも経験があると思いますが、
先週買ったばかりの商品が、今週安く売られていると
知ったときのくやしさ。
また、見た目おいしそうだったけれど、
おいしくなくてがっかりした果物や野菜。
こうした不愉快な体験が積み重なると、最終的には
「あの店は良くない」
という評価になり、客が離れていく。
次のページ長期的には、売り上げ低下につながってしまうわけです。
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2007.10.24
2008.05.08
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。