アサヒ飲料の「十六茶」が2月にリニューアルを予定している。果たしてブランド復活は叶うのだろうか?
競合が動いた時にはチャンスであるとアサヒ飲料は判断したのであろう。十六茶の製品リニューアルを決断した。
しかし、チャレンジャーはリーダーの10倍アタマを使わなくてはならない。同じような「男性向け」などといった、ターゲットセグメントを行わなかったのが特徴である。
ニュースリリースを見てみよう。
http://www.asahiinryo.co.jp/newsrelease/topics/2010/pick_0119-2.html
<朝の健康ブレンド茶!!「カフェインゼロ」と「十六素材のミネラル」のおいしさ> <朝ブレンド「アサヒ 十六茶」>
「カフェインゼロ」という訴求も実は爽健美茶の弱点を突いた差別化ポイントである。爽健美茶にはわずかながら、原材料由来のカフェインが含まれている。リーダーの弱みを突く戦術であるが、大きなポイントはそこではない。
性別ではなく、「用いられる時間」でセグメントを行い「朝」フォーカスしている。
<アサヒ飲料の調査によると「朝の健康的な水分補給」ニーズを背景に、お茶飲料の朝(6時~10時)の時間帯に飲まれる機会が他カテゴリーに比べ多いことが分かりました。また、「アサヒ 十六茶」においては、朝の購入比率が競合の茶系飲料に比較して高めという実態があります>とある。見事なチャレンジャーとしての戦略である。
2月16日の発売日に同時にリニューアルする製品がある。 <特定保健用食品『アサヒ 食事と一緒に十六茶』>である。
http://www.asahiinryo.co.jp/newsrelease/topics/2010/pick_0119-3.html
<食事と一緒に飲むことで糖の吸収をおだやかにすることから>という特性を持ち<同時にリニューアルする「アサヒ 十六茶」のパッケージと統一感のあるデザインを採用>したという。
朝に“朝ブレンド「アサヒ 十六茶」“。食事時、特に昼食に特保の“特定保健用食品『アサヒ 食事と一緒に十六茶』”。「時間軸」に注目したターゲットセグメントの切り取り方が秀逸だ。
その意志決定は、「昼食以降の、午後をバッサリ切り捨てる」という覚悟を物語っている。
この意志決定の凄絶さがわかるだろうか。
自らが切り開いた市場を力で勝るリーダーにもぎ取られた屈辱の日々。耐えること十余年。アサヒは反撃ののろしを上げたのだ。
「勝てるところを作って戦う」。十六茶の今後からは目が離せない。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。