バイヤーには万歳がない

2007.09.16

経営・マネジメント

バイヤーには万歳がない

野町 直弘
調達購買コンサルタント

調達・購買の仕事やコンサルをやっていて、ふと振り返ると、バイヤーの業務には「万歳!」の瞬間がないんですね。 なぜなら殆どが「やって当たり前の仕事」の世界だからです。

私も現場のバイヤーの経験がありますが、
バイヤーをやっていて自分の仕事に満足した経験って殆どなかったな、
と思い出します。

どんな仕事もそういうものなのかもしれません。

「バイヤーには万歳がない」ということです。
考えてみたら、そういう原体験が本当にないように思います。

価格決定がうまくいったとき、生産立ち上げのとき、
年度価格交渉がうまくいったとき、そのような時でも、
あまり「ああ、バイヤー冥利につきるな!」と思うことは
ないと思います。

例えば、交渉がうまくいったとしても、
営業のように「やった!」という思いはないでしょう。
「やった!」よりも「本当に大丈夫かな?」とか、
あまりにうまくいきすぎると「逆にだまされているのでは?」と
勘ぐることも多々あるでしょう。

バイヤーの仕事を考えてみると殆どが「逆境対策」です。
「値上交渉」、「納期遅れ対策」、「品質トラブル対策」、
「倒産対策」、「法規制対策」・・・etc。
こういう仕事が中心であり、所謂、普通の状態では
仕事が(実は)あまりない、逆に普通の状態が殆どない、
トラブルシューターとしての業務が中心だから、
「バイヤー冥利に尽きる」瞬間が味わえないのかもしれません。

ただそんな仕事の中でも、
「そういえば、こんなことがあったな」という瞬間が皆さんにも
あるかもしれません。
私の場合は、他部門の人やサプライヤさんとの信頼関係を
感じることでした。
「野町に任せておけば」、「野町さんにお願いすれば」
という信頼感と、それを達成した時の「有難う、よくやった」
という一言を聞いた瞬間が、やはり「バイヤー冥利に尽きる」瞬間
なのかもしれません。

そう考えると、今のコンサルタントという仕事も
同じかもしれませんね。
お客さんから一言「有難う。よく頑張ってくれましたね!」
という言葉をいただく、もしくは言葉がなくても、そういう思いが
伝わってくる瞬間を楽しみに日々仕事をやっています。

それから、これは蛇足ですが、
私は一人のコンサルタントであり、また会社経営者です。
私の社長冥利に尽きる瞬間は「社員の成長を感じる時!」ですね。
皆さんの「XX冥利に尽きる」瞬間は、どのような時なのでしょうか?

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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