実はちょっとほろ苦い「チョコレートスパークリング」

2010.01.21

営業・マーケティング

実はちょっとほろ苦い「チョコレートスパークリング」

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 1月19日の発売のサントリー「チョコレートスパークリング」が話題だ。実は話題に乗っかるのは嫌いじゃないので遅ればせながら書いてみる。

 クリスマスは消費の一大イベントであるが、シャンパンなどの「スパークリング飲料」を購入するというイメージに直結するほどの認識は高くないだろう。その点、バレンタインは「チョコレート」という一点に集中する。

 さらに面白い記事を見つけた。
 <バレンタインデーに“告る”のは過去の風潮!?勝率は25.4%>(東京ウォーカー1月19日) http://news.walkerplus.com/2010/0119/27/ 
 記事には<バレンタインデーの日を“意中の人への告白の手段”と考えるのは、すでに過去の風潮であるということが明らかに…。逆の現象として、同性の友だちに贈る“友チョコ”が年々存在感を増しており、バレンタインデーを「イベントとして楽しめる日」と、ライトに考える女性が多くなっていることが浮き彫りとなった>とある。
 要するに、単なる「お祭り」なのである。お祭りに面白い商品があれば、ついつい話題にしてみたくなる。たった147円であれば試しもしたくなるだろう。そんな背景が、話題づくりをしたいサントリーの意図とピッタリマッチしたのだろう。

 消費が低迷し、消費者の財布の紐はいまだ固く引き締められている。飲料の需要も、ミネラルウォーターは水道水の浄水で、茶系飲料は茶葉から淹れるという用いられ方で代替され売上げが落ちている。炭酸飲料カテゴリーは唯一、自分では作ることができないからかろうじて売上げが落ちず、微増を保っている状況だ。炭酸は茶系ほどの常用性はない。「スッキリしたい時」や「ちょっと甘い物が飲みたい時」などのスポット需要がほとんどだ。

 1年前のサントリーの発表では2008年の日本の炭酸飲料市場は2億1800万ケースだと試算されたようだ。季節限定商品や変わり種ペプシがそこに占める割合は極めて小さい。しかし、市場を支えるためには消費者への刺激が欠かせない。
 あま~いチョコレートフレーバーの飲料の影には、そんなメーカーのちょっとほろ苦い思いが詰まっているように感じた。
 

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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