~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者の商社マン生活を参考に小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。
ワクワクした気分であった。
「宮田です。 お呼びでしょうか?」
「おー、おはよう。 まー、座れや」
といって、宮田を招きいれながら、部屋の中の応接セットの席を指差した。
「あのなー、早速やけど宮田君。 実は、駐在の話なんや」
突然そう切り出した。
「俺もそろそろ君に駐在に出てもろて、この重工・プラント本部のホープ
として海外でバリバリやってもらおうと思ってるんや!」
< ほら、やっぱりや。 来たで! 来たで! 来たでー!>
吉田本部長は続けた。
「それでな、駐在先なんやけどな」
< マドリッドでしょ! おれ、知ってるもんね。
え、ひょっとしてパリ? >
「南アフリカや」
< ・・・・・・・・・・・・・ >
「え、 み、南アフリカ・・・・ですか・・・?」
「そや。 南アフリカや。
南アや、南ア。
あの、ほれ、
「人種隔離政策」、いわゆる「アパルトヘイト」
で有名な。
その南アのヨハネスブルグに君にすぐに行ってもらいたいと思っちょる」
< お、思っちょる? 言われても、おっさん。
あれれ、マドリッドは???
あれれ、パリは?
それが、 なんで、南ア?? あれ、あれ、あれれー? >
目を白黒させている宮田を見て、吉田は言った。
「どないした? その顔は?」
吉田本部長は、一気にまくしたてた。
「南アは、おもろいで! 宮田君。
こんな話知っているか?
南アは、神様がアフリカ大陸の上を通る時に、ちょうど今の南アの上で、
誤って持っていた宝石箱をひっくり返してしまったという逸話があるほど、
ダイヤモンド、金、鉄鉱石、銅、マンガン、プラチナなどの日本が喉から
手が出るくらいに欲しい鉱産資源の宝庫なんや。
それとな、
この資源を利用して、それを加工して付加価値を上げるための色々な
機械設備やプラントの需要がこれから腐るほど出てくる。
これを、近々歴史的な偉業として樹立するであろうマンデラ次期黒人初の
大統領率いる黒人与党政権の元、大日商事としては、旧来の国家権力者で
あり、かつこれからもビジネスを牛耳続ける白人巨大資本家やビジネスマン
との間を、人脈と、パワーバランスの中でうまく泳ぎ渡り、ほか商社に先駆
けてビッグプロジェクトを次々とものにする。
これが我が社の戦略なんや。
君にはその先兵として是非行ってもらい、新生南アという新しい舞台で
思う存分商社マンとして活躍してもらいたいんや!
どや、えーな! 商社マンとしてもこれ以上のやりがいはないやろがい!
パリの関君もぜひ宮田をと推薦してくれとる。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
商社マン しんちゃん。 走る!
2010.02.07
2010.01.20
2010.01.20
2010.01.11
2009.10.28
2009.10.24
2009.10.16
2009.10.12
2009.10.11