私は80年代後半、市場調査会社で、 様々な消費財の小売店での販売動向を 調べる仕事をしていました。 調査対象には、 「清涼飲料市場」 も含まれていましたが、当時は、 炭酸の入っていない飲料、すなわち 「非炭酸飲料」 が急激に拡大し始めていた時期でした。
「福岡で売れているからといって、
全国で売れるとは限らない、それより
ウーロン茶をなんとかしてほしい」
というのが、販売の前線にいる
ボトラー社の願いだったのです。
しかし、魚谷氏はあきらめませんでした。
爽健美茶を軸に、
茶系市場でのシェア拡大を図る
マーケティングプランを練り、
消費者だけでなく、ボトラー社の
共感も得られるような広告づくりに
取り組んだのです。
そして、最終的に、
消費者やボトラー社の心を動かすこと
のできる
「Extrinsic Value」(情緒、感性的価値)
として固まったコンセプトは、
「女性の美の究極であるミロのビーナス」
です。
これは、
「男性がうれしいことは何だ?」
という問いを行ったジョージアと同様、
「女性が最もうれしいことは何か?」
という究極の問いに対する答えでした。
あなたは、
爽健美茶の最初のコマーシャルを
覚えていますか?
健康的な美しさがあふれる
裸身の女性(こずえさん)が、
「はと麦、玄米、月見草、爽健美茶」
とアカペラで唄うやつです。
この広告は、ボトラー社はもちろん、
ターゲットの若い女性の心を捉え、
爽健美茶は発売当初から、
爆発的な売上げを記録したヒット商品と
なりました。
面白いのは、当初コンビニでは、
「こんな漢方薬みたいなお茶は売れない」
と言われて、
店頭での販売を断られたことです。
ウーロン茶がガンガン売れているのに、
よくわからない新商品を置くスペースはない
ということだったようです。
しかし、CMオンエアー後、
自販機では飛ぶように売れていきます。
そして、お客さんから、
コンビニにはなぜ置いてないのかという
問合せが増えたため、全国発売2カ月後に、
コンビニ側から同商品納入の依頼が来たの
だそうです。
さて、女性ターゲットで始まった
爽健美茶ですが、現在、利用者の半分は
男性だそうです。
男性も、健康的であること、
また外見の美しさに気を配る人が
増えたからでしょうね。
実際、現在の商品のバリエーション、
およびコマーシャルも、男性向け、女性向け
それぞれのバージョンが展開されていますよね。
『こころを動かすマーケティング
コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられる』
(魚谷雅彦著、ダイヤモンド社)
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*関連記事『広告の役割再考「広告リレーション理論」』
http://www.mindreading.jp/blog/archives/200910/2009-10-21T0845.html
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コカコーラのブランドマーケティング
2009.12.11
2009.12.11
2009.11.17
2009.11.16
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。