相手に影響を与えるための具体的な「働きかけ方」のことを 「影響方略」 (Influence tactics、Influence strategy) と呼びます。
しかし、こうして自ら役割を強調しなければならないのは、
受け手がその人を認めていないことの裏返しでもあります。
尊敬に値する上司なら、
「私が上司なんだから・・・」
などとわざわざ言われなくても、素直に従うものですよね。
[第三者から支援してもらう]
自分よりも正当影響力や専門影響力が大きい人の
パワーを借りる方法。
恩師などに「推薦状」を書いてもらうといったことが
これに該当するでしょうね。
この方法は常日頃の人脈づくりが鍵になります。
[社会的な規範の存在を指摘する]
「困っている人がいたら、助けてあげるというのが
人の道というものではないでしょうか」
などと、社会的に共有されている考え方や常識を
持ち出して相手を説得しようとするもの。
このテクニックは、代議士先生が多用しますね。
[頼みたいことを暗にほのめかす]
影響の受け手に対して、
頼みたいことを直接言わず、相手が察してくれるような
表現をする方法。
たとえば、窓を開けてほしい時、
「この部屋ちょっと暑いね」
と相手に言うのはこれです。
直接依頼事項を伝えてしまうと
角が立ってしまったりする場合によく使いますね。
逆に言えば、これがうまく使えないと、
「きつい人」(ストレートすぎて)
という印象を周囲に与えてしまう可能性がありますね。
[受け手をだます]
にせの依頼事項を伝えたり、嘘の理由を述べたりするもの。
明らかなにせもの、嘘だとわかる真性ブラックな話なら、
受け手もだまされることは少ないでしょう。
しかし、霊感商法的なもので、
“この「壷」を床の間に置いておくと
幸運がやってきますよ”
などといった話は、その効果の検証が不可能です。
つまり、受け手がこの話を信じるかどうかにかかっているため、
周囲から見ると、明らかにだまされているとしか思えませんが、
本人はだまされているとは感じていないという点が厄介ですね。
ビジネスのシビアな交渉でも、
自分たちにとって有利な条件を引き出すため、
結構平気で嘘をつきあってますね。
[受け手と話し合い、妥協点を見つける]
お互いに歩み寄るやり方。
ピアノの音がうるさいと文句を言いにきた隣人と話し合い、
夕方6時以降は練習をしないと取り決めるといったことです。
民主的な方法ですよね。
ただ、駆け引きが発生しますから、
人間心理をよくわかっている交渉上手が相手だと、
自分にとって不利な依頼を飲まされてしまうということが
多々あります。
『影響力の武器-なぜ、人は動かされるのか』
(ロバート・B・チャルディーニ著、誠信書房)
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2007.09.14
2007.09.18
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。