「変わり続けてく街並みのように、元には戻れない若いふたり・・・」切ない歌のフレーズがそこだけ頭にこびりついていて離れない。何という歌だったろうか。 しかし、元には戻れないのは若いふたりだけではない。世界は、もう元に戻れないのだという。
■消費者の方が対応は早い
その銀座も、昨秋のH&M銀座店の大行列に始まり、ユニクロの大規模増床と、「高級ブランドの街」からすっかり「身の丈の街」に変身しているのである。
つまり、「ハーフエコノミー」は恒常化して、まずは生活者が「身の丈消費」を身に付けた「ニューノーマル」になって、それに対応できる企業だけが生き残れる構図が既に出来上がりつつあるのである。
■バリューラインを超えろ
昨今話題の商品を見ても、しっかり「ニューノーマル」対応している。分りやすいのが、今さらながら「餃子の王将」。
<人気のファミレス、ベスト3は「サイゼリヤ」「餃子の王将」そして……>(Garbagenews.com2009年12月01日)
http://www.garbagenews.net/archives/1143858.html
マイボイスコムのネット調査の結果。1位は「ガスト」。但し、「最もよく利用する」以上に「今年利用が増えた」の対比では、俄然「餃子の王将」の伸びが目立つ。
価格と価値が正比例した関係を「バリューライン」という。「安かろう・悪かろう」から「高くて・いいもの」の関係だ。「ニューノーマル」になった消費者の支持を集めるなら、そのバリューラインを超えなくてはならない。「王将」は価格が安くて、味は最高ではないものの結構イケルという、典型的な「グッドバリュー戦略」だ。ガストは「安いなり」の「エコノミー戦略」であくまでバリューライン上である。故に、現状、「最もよく行く」ではあるが、「今年利用が増えた」の割合が低くなっている。
■代替されない商品をメインに
「ニューノーマル」な暮らしの中では、当然消費をおさえられるところは切り捨てる。だとすれば、もしくは代替される。例えば、なにげなく毎日買って飲んでいるペットボトルの飲料。ミネラルウォーターなら100円~120円ぐらい。お茶や清涼飲料なら150円が相場だ。1日1本~2本買って、日数をかけると、おっと、馬鹿にならない金額だ。と、みんな気付いている。なので、水は水道水を浄水してマイボトルに入れる。お茶は茶葉やティーバックで淹れる。その結果が、このデータだ。
<勝ち組「ゼロ飲料」、負け組「ミネラルウオーター」――2009年飲料市場>(Business Media 誠12月3日)
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0912/03/news031.html
これも、分りやすい。「ゼロ飲料」はオイシイ(甘い)炭酸なのにゼロカロリーという理由で、今までカロリーを気にして茶系飲料を飲んでいた人を取り込んで成長した。しかし、今も買われているのは「炭酸は自分で作れないから」だ。その証拠に、数字の意味するところは、伸びているのは「ゼロ系」に限らない「炭酸」である。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。