「油絵」的な仕事をベースとし、ある部分、「塗り絵」的な仕事が混じってくる。そして時に「切り絵」的仕事に挑戦する―――それがキャリアを健全にひらくサラリーパーソンの姿。
私個人は6年前に会社勤めを辞め、いまは独立してビジネスをしています。
言ってみれば、切り絵作品に挑戦している最中で、
そのハサミの一刀一刀に細心の注意を払いながら、
でも潔く切り込みを入れている毎日です。
私の事業がどんな作品に出来上がるか、
1日、1ヶ月、1年、5年をおいて振り返って初めて、その出来栄えがわかるといった状況です。
まだ事業で成功したわけでもありませんので、偉そうなことはいえませんが、
切り絵的な仕事には、塗り絵には当然比べようもなく、
そして油絵とも全く異なった面白さや喜び、気づき(悟りに近い)があります。
独立してからの1年1年は、サラリーマン時代の1年1年に比べて、
濃度が2~3倍になった感じでしょうか。
さらにはサラリーマンをずっと続けていたら絶対に感得することもなかったような思いを
自分の中に植え付けることもできました。
ですから、一端の職業人であれば、
何らかの形で切り絵的な仕事にチャレンジすることをおおいにお勧めしたいのです。
確かに会社の中で働いている以上、「塗り絵」的な仕事はどこまでいってもなくならないし、
「塗り絵」的な仕事をこなすことによって、
職業人としての基本が磨かれるといったプロセスもあるでしょう。
ですが、 「塗り絵」的な仕事にどっぷり浸かったままいると、
今度は「塗り絵的な仕事だってツライんだ。
誰かがやんなきゃいけない仕事を自分がやってんだからもっと評価してくれ(給料が安い)」
なんていう自己正当をしはじめます。
そうなっては、働く個人にとっても、雇う組織にとっても不幸です。
会社に雇われるビジネスパーソンとしては、おそらく
「油絵」的な仕事をベースにし、ある部分「塗り絵」的な仕事が混じってくる、
そして、ときに「切り絵」的な仕事に挑戦していく―――
これが理想の姿だと思います。
最後に「切り絵」的仕事をする際の注意点を3点だけ。
1つに、基本力を備えること。
(芸術家が行う即興にしても、それは基本技術あってこそのものです)
2つに、リスクに対しての適切な感覚をもつこと。
(何事もやみくもにやるのは、むしろ愚行です)
3つに、不測の状況下でも仕事を楽しむためには、そこに「情熱」を感じていること。
(情熱なしには、精神的・肉体的負荷に耐えられません)
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【キャリアを開く/拓く/啓くということ】
2009.11.23
2009.10.26
2009.10.11
2009.09.25
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。