酒井法子と押尾学……この2人の違法薬物をめぐる事件は記憶に新しい。かつて覚せい剤といえば“遠いモノ”だったが、今では学生までもが手を染める時代に。こうした状況に対し、一石を投じようといている男がいる。ライブ活動などを通じ、世直しを図ろうとしている、杉山裕太郎さんに話を聞いた。 [嶋田淑之,Business Media 誠]
「単純な理由としては、ポータブルで使いやすいというのがあります。覚せい剤そのものであれ、注射器であれ、体のどこか適当なところに簡単に装着できるので、いつでも使え、いつでも捨てられるというのは利点でしたね」
心理的な理由は?
「『どうせ……』というのが原点です。どうせ親は世間体しか考えていない、どうせ誰も自分のことを分かってはくれない、どうせ自分なんて誰からも愛されることのない、世の中に不必要な存在だと言う『自己肯定感のなさ』ですね。
そういう気持ちが高じて、行き着くところまで行ってしまうと、人間は自暴自棄になり、自殺、覚せい剤、殺人などに走りがちです。私の場合は、覚せい剤だったということです」
覚せい剤を打つことによって、そうした意識に何か変化が生じるということ?
「私は、人間には『意識』と『本能』とがあると思うんです。覚せい剤を打つような人間というのは、どうせ自分なんて誰にも分かってもらえないし、世の中から全く必要とされていないという『意識』を持っているわけです。でも、その一方『オレは、本当はそんな人間じゃないんだ!』という魂の叫びみたいな『本能』が存在していて、それが心の奥底では渦巻いていると思うんです。
覚せい剤を摂取することによって、自分を抑圧している『意識』の部分が雲散霧消して、それに代わって、その『本能』の部分が表面に上がってきて、まるで、その『本能』によって体中が満たされたような錯覚に陥って、とても気持ちがいいんですよ。それは結局、一時的に逃避したに過ぎないんですが、自分というものを構築できていないので、結局、そんな方法で解決したつもりになるしかないんです」
その気持ちよさによって、行動にどんな変化が現れるのだろうか?
「自分を抑圧していたさまざまな雑念がすべて消えてくれるので、まず意識が非常にクリアになります。だから、最初は、やたらと部屋の掃除をしたりするんですよ(笑)。あと、文章が上手に思い通りに書けたり……と、いろんなことがうまくできるようになるんです。
そして、覚せい剤に慣れてくると性的な快感が強烈になります。その快楽ゆえに、もう止められなくなるんです」
そうだとするならば、覚せい剤を購入するための費用もかなりかさんだのではないかと思われるのだが、杉山さんはどんな人間から、どのくらいの価格で入手していたのだろうか?
「その当時の入手ルートは、不良外国人とヤクザ・チンピラの2ルートがありました。仕入れ値は、外国人相場だと、0.6~0.8グラムで1万 5000円くらいでした。1グラム換算で2万円ほどですね。でも、大量に持っているヤクザから買うとすごく安かったです。紙袋にいきなり10グラム以上入っているのに2万円で買えちゃいましたから。受け渡しの場所は、パチンコ屋の外とかが多かったです」
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
杉山裕太郎氏
2009.11.24
2009.11.16
2009.11.09
2009.11.02
2009.10.26