カメラの「キタムラ」がデジタル一眼レフのレンタルサービスを10月22日から開始した。カメラ店がカメラを売らずにレンタルする。その狙いは何だろうか?
もちろん、カメラの販売にも貢献する。同社の商品価格は決して高くはない。しかし、とにかく価格勝負の大型量販店とい比べれば、必ずしも最安値を実現はできていない。
レンタルサービスは「近くの店舗」で「店員から使い方のレクチャー」を受けて、気になるカメラを「試して」「納得して」から、顧客が実際に購入してくれるという効果も期待できるのである。
1粒で3度オイシイキタムラのレンタル事業をフレームワークで考えてみよう。
消費者の態度変容モデルはAIDMAが有名だ。A(Attention:注目)→I(Interest:関心)→D(Desire:欲求)→M(Memory:記憶)→A(Action:行動)である。それに替えてAMTULというモデルを用いる場合もある。A(Awareness:認知)→M(Memory:記憶)→T(Trial:試用)→U(Usage:日常利用)→L(Loyal:ファン化)だ。
AIDMAは消費者が商品を認知してから購入に至るまでをプロセスとしてとらえているが、AMTULは試用を経て購入し、反復購入させるまでをとらえたモデルである。
キタムラの場合はレンタルサービスを認知(Awareness)させるとともに、店頭でプリントサービスも認知させ、記憶(Memory)させる。レンタルサービスでカメラを試用(Trial)させ、納得した人には購入してもらう。プリントも利用してもらう。そして、プリントの仕上がりを気に入ってもらって、頻繁に使ってもらい(Usage)、同社のファンにする(Loyal)という戦略である。
「カメラ店がカメラ売らなくてどうすんの?」と短絡的に考えては同社の戦略は見えてこない。実は、時代に合わせた深謀遠慮があり、1粒で3度オイシイ設計になっているのである。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。