最近公共セクターを中心に不正支出、不正経理の問題が相次いでいます。民間でも不正支出や不正経理は明るみになっていないだけで頻繁に起こっている可能性は低くありません。 不正支出は企業団体の内部だけの話でなく、ブランド力や株主リスク、企業収益にまで影響を与えるようになっています。
それでは不正支出を回避するための「仕組み」を作るポイントは何でしょうか?
一つ目は「五権分立」であり、二つ目は「適正なプロセスの整備」です。
これは私が大分昔からセミナーや著書などで
繰り返し述べていることなので既にご存知な方も多いとは思います。
一点目の「五権分立」についてですが、これは
1.予算執行
2.仕様決定
3.購買契約・発注
4.受入検収
5.支払
の五つの役割・機能を分権する必要があるということです。
通常、
1.予算執行は「費用を支出するための権限」であり、
逆に言うとお金を使うことで得る効果を最大化することが役割です。
通常は要求元や製造部門がそれにあたります。
2.仕様決定権限は「要求元の要望」に基づき、
「購入品やサービスの詳細仕様を決定する権限」であり、
当然のことながら最適な仕様を選定する役割があります。
通常はパソコンの仕様を決定するIT部門や、
製造業で言えば設計部門がそれにあたります。
3.購買契約・発注は「要求元の要望」に基づき
「仕様決定者が決定した仕様」のものを
「どこからいくらで、どういう条件で買うかを決める権限」であり、
購入条件をいかによくしていくかを決定する役割があります。
つまり、何をどこからいくらで購入するのかを決める役割であり、
通常は購買部や調達部、場合によっては総務部に分散していることもあります。
ここで注意しなければならないのは、「購買契約・発注」と言っても
あらかじめ決定している契約条件に基づいて発注書を発行していることが
「購買契約・発注」業務ではなく、単なる発注書発行業務だということです。
4.受入検収は文字通り「納品された物・サービスを受領、検品する権限」であり、
発注したものが確かに納品されているかどうかを確認する役割です。
通常は検査部や生産管理部、資材部が行っています。
5.支払は文字通り「支払」であり通常は経理部門が会社を代表して
各部門の支払依頼を受けて支払を行っています。
このように五権がそれぞれ分権していれば、
「無駄な支出を抑える」「無駄なオーバースペックを抑える」
「適正な支払を行う」「納品されていないものの支払を行わない」
「適正な金額を支払う」という抑制がそれぞれ働きます。
つまり馴染みの業者に納品されてもいないものの支払を行い
バックをもらう、とか必要以上のお金を請求、支払いしバックをもらう、
といった不正な支出を仕組みとして防止することができるのです。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。