「好き」を仕事にする、ではなく「想い」を仕事にせよ

2009.10.11

組織・人材

「好き」を仕事にする、ではなく「想い」を仕事にせよ

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

キャリア・人生をたくましく切り拓く人は「想いを描く」ことをする。「好き」を仕事にする人には落とし穴がある。

さて、発想はまだ発展します。
もしあなたがスタジアムの運営に大きな興味を感じ、その関連で職を得たいと思ったとしましょう。
そこで、また発想をします。
(ここでいう発想はもちろん、現実の情報収集も含んだ上での発想です)
すると、スタジアム運営の周辺にもさまざまな仕事が候補として浮かび上がってきます。

 
球場ビジネスの経営、イベント興行の仕事、場内の飲食業、球場の営業の仕事、
球場の保守の仕事、天然芝の生産の仕事、等々。
これら仕事について、いろいろと調べていくと、
あなたの中でも新たな発見や興味が湧いてくることでしょう。

上図の例では、あなたがその中でも、天然芝の管理ビジネスに高い関心を寄せ、
さらにそれを追っていくうちに、
ついにはグリーンキーパー(芝の維持管理者)の派遣ビジネスにたどり着くというものです。

この一連の発想の展開で大事なことは、
その発想の根底に、あなたのスポーツへの“想い”が流れ続けていることです。
「自分はプロ選手にはなれなかったけれども、陰から名勝負が生まれることを助けたい。
選手になりそこねたおかげで、その分、
プレー環境や道具に関する選手の要望やかゆみが誰よりもよくわかる。

たまたまその仕事に就いている人間には絶対負けない!」という想いです。

自分の想いをメガネにして、いろいろな職業、職種、業界を見てみる。
そうすると、予想外のつながりや展開が生まれてきます。
上の例では、プロスポーツ選手がグリーンキーパーの人材派遣ビジネスに展開しました。
第三者が聞くと脈絡がありませんが、本人が自分の想いでつながっていればそれでいいのです。
自分の中で、過去に培った経験や強みがすべてその仕事に活きてくれば、
やがて周辺の人間も、お客さんも
「なるほど、この人のつくりだす商品・サービスは確かに違う」と気づくようになるでしょう。

本人がプロスポーツ選手への道が絶たれたとき、もし、発想を面倒がり、
体育会系で人当たりもいいから何でも適当に営業の仕事に就けばいいやと
簡単に就職してしまったら、
その後、「俺はなんでここでこんなものを売っているんだろう?」
という状況に陥ってしまう可能性があります。

将来をあれこれ発想して展開するには、意志と努力が要りますが、
それは将来の自分を助け、活かすために、今、重要な作業なのです。

どのみち人生はもがかねばならないものです。
ですが、その「もがき」を徒労に終わらせないために、
私たちには「想い」が必要です。
想いの下にもがいていれば、必ず自分の山が見えてくるものです。

次のページ「想い」=「自分がこうありたい状態」×「~のために」

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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