渋谷駅に『立ち食いどん兵衛』登場 その意図は何だ?

2009.10.08

営業・マーケティング

渋谷駅に『立ち食いどん兵衛』登場 その意図は何だ?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 渋谷駅山手線内回りホームに、リニューアル発売された「日清のどん兵衛」うどんシリーズをその場で食べられる『立ち食いどん兵衛』が登場した。

 日清はぶっといのどごしの『ぶっとうどん』には、並々ならぬ自信を持ているのではないだろうか。一度試させて味を納得させれば、それ以後、反復購入させることができると。

 消費者の購買に至る態度変容モデル「AMTUL」というものがある。A(Attention:注意喚起)→M(Memory:記憶)→T(Trial:試用)→U(Usage:日常利用)→L(Loyal:ファン化)である。
 AMTULで重要なのは、まず「試す」点である。しかし、反応が出やすいカップ麺では無料配付したら、また、混乱するかもしれない。無料でもらってそれまでというリスクもどうしてもついて回る。
 それならば、関心を持って一度、身銭を切って試して(Trial)もらう方が、以降のU(Usage:日常利用)→L(Loyal:ファン化)へと至る可能性が高い。また、その段階を進ませるだけの自信があったのではないだろうか。

 昨今の新製品における問題は、一度試させる「接点」が消費者との間に、昨今は構築しにくくなっている点である。店頭では流通のプライベートブランド(PB)商品が台頭し、新製品といえどもナショナルブランド(NB商品)は埋もれがちであり、価格的にもアピールに欠けることになる。故に、PBとの競合にさらされない場所で体験し、気に入ってもらって、指名買いのポジションを獲得しようという意図が『立ち食いどん兵衛』にはあるのだろう。
 思わぬシチュエーションで接触し、街で食べるには安価な価格で試せて、食べながら映像で「どん兵衛」の世界を体感するなど楽しめれば、その評価もさらに何割増し価になるのではないだろうか。

 黙っていれば、PBの圧力が日増しに高まるNB。突如駅に出現した「どん兵衛」の立ち食いアドスタンドは、メーカーの必死の展開を表わしているともいえるだろう。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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