大手4社のノンアルコールビール、もしくはアルコール0.00%ビールテイスト飲料が、明日明後日の9月中に出そろう。メディアが伝える試飲リポートからサッポロの製品「スーパークリア」だけが異彩を放つ戦略をとっていることがわかる。その背景を読み解いてみたい。
サッポロだけが大手4社の中で明らかにターゲットも、ポジショニングも異なる展開をしているがそのワケはナゼだろうか。
サッポロがビール類課税出荷量のシェアで、サントリーに抜かれ4位転落をしたのは2008年第1四半期のこと。結局昨年は通期でも3位返り咲きができず、業界のポジションとしては「フォロアー」となっている。シェアの低下は店頭の棚確保が難しくなるというマイナスのスパイラルを生む。
定番の「「ヱビス」はサントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」と真っ向勝負の最中だ。一方、ビール系の中では唯一の成長カテゴリーである第3のビール。「ビールと紛う味の良さ」と評判の「麦とホップ」を育成したいが、イオンとセブン&アイ系列の店頭にはサントリー製のPB商品が棚を占拠しはじめた。ディスカウント店では韓国製の第3のビールの侵攻が始まっている。ここでも予断を許さない。
そして、大手4社そろい踏みとなったノンアルコールビール。ノンアルコールでも同じビール系飲料の棚に入れられるとすれば、同じ土俵で勝負をするのではなく、製品特性とターゲット設定をずらして「独自の生存領域確保」を狙う「ニッチャー戦略」をとっているのではないだろうか。
フォロアーのポジションに甘んじたくはない。しかし、全てのカテゴリーでチャレンジして、万が一にも総崩れになることは避けたい。そんな戦略が全面戦争の戦端がまもなく開かれる、ノンアルコールビール市場における「サッポロ スーパークリア」の展開から伝わってくるのである。
発売は9月30日。まずは味わってみようではないか。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。