~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者のドロドロの商社マン生活の実体験をベースに、小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。
「どの部分がオーバースペックなんでしょうか?」
ムハンマド購買部長はこう言った。
「圧延設備の後工程にテンションレベラーをつけている。
これは不要である」
さらに続けた。
「現在あなたたち日本のコンソーシアム以外に他の2カ国の2つの
会社からも提案を受けている。 どこもそんなものは提案してき
ていない」
ここでいうテンションレベラーというのは何か。
この機械は、アルミを板状に加工する圧延工程が終了したアルミニ
ウムの薄い板に、どうしても残ってしまう表面のしわやたわみなど
をテンション、つまり人工的に張力をかけて引っ張ることで少なく
し、板のしわなどを伸ばし矯正する機械であり、アルミの表面品質
向上などに大きく寄与する設備である。
主婦が洗濯機などで洗濯した後に、物干し竿に洗濯物を干す際に、
パンパンと叩いたり、引っ張ったりしてしわを伸ばして取ろうとす
る、あの原理と一緒である。 それをするかどうかで洗濯物が乾い
た後にその仕上がり具体に大きな差ができる。
その設備自体は大きくないが、板に求められる要求品質が高い場合、
大変大事な設備となってくる。
宮田は、会議の一時中断をアロイコ側に申し出て、丸の内重工内村
主任技師をはじめとする技師たちを集めて円陣を組んで小声で相談
を開始した。
内村に宮田は尋ねた。
「テンションレベラーは過剰だと言って来ていますが、本当ですか
ね?」
内村は即座に宮田にこう言い切った。
次号に続く。
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商社マン しんちゃん。 走る!
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