「賭博粉飾国家・日本」の寄付市場とは、いかほどか?

2009.08.21

営業・マーケティング

「賭博粉飾国家・日本」の寄付市場とは、いかほどか?

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

サマージャンボ宝くじの売り場には、今年も、長い列ができていた。射幸心を煽る広告はダメだという規制があるにもかかわらず、宝くじの広告だけは、いつも治外法権である。実は、日本の公営ギャンブルの搾取率は、世界一高い。どうやら、日本は、「賭博粉飾国家」である。

この「賭博粉飾国家・日本」の事実を踏まえて・・・対極にある「寄付」について考えてみたい。

実は、アメリカと比較すると、日本は、寄付で集まるお金の総額が究めて少ない。先進国の中でも、寄付については、一番遅れているのが日本なのである。内閣府:税制調査会の資料によると、アメリカでは 2002年の個人が寄付をした総額は22兆9千億円にも上るのに対し、日本では2189億円と、実に100倍以上の大きな開きがある。

個人寄付 日本→2,189億円 アメリカ→22兆9,920億円
法人寄付 日本→5,092億円 アメリカ→1兆5,255億円
合計  日本→7,281億円 アメリカ→24兆5、174億円
出所:平成17年内閣府税制調査会資料

日本で寄付文化が育たないのは、宗教観の違いや寄付に対する税制の優遇が違うことが上げられるが、、、

公営ギャンブルに、個人が6兆円以上も使う国の、個人の寄付金額が2000億円そこそことは、その薄っぺらさに驚く。

gooマネー「日本の寄付金がアメリカの100分の1の理由は?」というコラムには、次のような一文がある。
『日本では、貧富の差が広がらないようにするために、所得の再分配は「国」が中心となって行ってきました。例えば、お給料をたくさんもらっている人からより 多くの税金を集め、そしてお金を必要としている人や学校などの団体には、国が税金で集めたお金を分け与えていました。

つまり、どこにお金をどこから集める か、そしてどこに分け与えるかについてまで、ほとんどすべて国が決めてきたという歴史があります。これは、あまり日本では寄付が多くなかったからという理 由もあるのですが、そもそも寄付を無制限に認めてしまうと、自分が設立した団体や知り合いの団体などに寄付をして税金を少なくしようとする、いわゆる脱税 に利用されてしまう可能性があるため、国が寄付について厳しい基準を設けて、お金を集める方法から分配する先まで国で一元的に行おうとしてきたからなのです。』

再配分、平等いう名の下に、安易な寄付を許さない税制。
一方で、国家や自治体収入を増やすことに躍起になっている公営ギャンブル経営。
長期的に見たら、誰も幸せにしていないのではないだろうか・・・。

公営ギャンブルで得られるメリットは、短期の、個人的な享楽だ。それを、国家を上げて高揚している。しかし、長期的で、利他の視点が必要な「寄付」については、それは、国がやることであるとガードをする。

夢見るお馬鹿さんは、搾取率世界一の公営ギャンブルに、ドンドン来なさいよ。参加しないさいよ。法の下に、国民の短期な夢しか煽らない国家に、寄付文化が育つわけがない。
日本の寄付市場が育たないのは、「賭博粉飾国家・日本」のお寒い心根にある。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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