日本初、細胞バンクビジネスのミッションとビジョン(2)

2009.08.11

開発秘話

日本初、細胞バンクビジネスのミッションとビジョン(2)

INSIGHT NOW! 編集部
インサイトナウ株式会社

自分の肌の細胞を使い医療や美容に役立てる。セルバンクすなわち自己細胞バンクは、高度先進医療のシンボル的な企業だ。細胞ビジネスを立ち上げたセルバンク社の問題意識、今後の展開戦略、細胞バンクが拓く医療の可能性などを探る。

再生医療と携帯電話では、表面的にはまったく違ったビジネスにしか見えない。しかし、その本質を突き詰めていくと、同じビジネスモデルが浮かび上がってくるのだ。

「携帯電話を使うためには、まずベースとして基本料金が必要ですね。そして電話をかけるたびに通話料が発生します。この原理を細胞保管サービスに当てはめてみたわけです。すると我々もまず基本料金として細胞の保管料を毎月いただけばいいのではないか。さらに保管しておいた細胞を使うときには、使用料をいただくようにしよう。これなら理に適っている、お手本は携帯電話だとひらめきました」

となれば顧客の囲い込みもケータイビジネスと同じ仕組みが使える。すなわち細胞の保管料は、継続利用期間に応じて安くしていけばいい。このシステムにお得感があることは、すでに多くの人に受け入れられているから納得してもらいやすい。

「一度、携帯電話でキャリアを決めるとなかなかブランドチェンジはしませんよね。同じように顧客を強烈に囲い込むアイデアが、我々のビジネスモデルには組み込まれているのです」

若いときに保管した細胞の価値に注目してみよう。仮に20代後半の細胞を保管している人がいるとして、その人にとっての細胞の価値は歳を重ねるごとにどう変わっていくだろうか。少し考えればわかることだが、若い細胞の価値は右肩上がりで高くなっていくはずだ。

「時間が経てば経つほど解約する人は減っていくと考えています。だから月次ベースだけで考えれば毎月、入会者が脱会者を一人だけ上回ってくれればいい。その調子で毎月一人ずつ入会者が増えていけばどうなるでしょう。その累積効果たるや3年目ぐらいになると会員数700人ぐらいにふくらむ。会員数×保管料を弾くととんでもない額になるじゃないですか。もっともこれはとらぬ狸のなんとやら、なのかもしれませんが」

ビジネスの本質をつかみ、細胞バンクに応用する。優れた才覚に恵まれた北條氏だが、現実問題としてはなかなかスタートラインにさえつけなかったのだ。

⇒次回「銀行での挫折、そしてエンジェルの登場」へ続く(全四回)

『株式会社セルバンク 関連リンク』
株式会社セルバンク:http://www.cellbank.co.jp/
再生医療のRDクリニック三田:http://www.rederm.com/
セルバンクのスキンケア cellmedico.com:http://www.cellmedico.com/ 
細胞保管セルバンク:http://www.cellbank.jp/
北條氏のブログ「肌の再生医療専門【RDクリニック三田】ブログ:http://www.rederm.com/blog/

◇インタビュー:竹林篤実/清水優太 ◇構成:竹林篤実
◇フォトグラファー:村山裕章 ◇撮影協力:ピクスタ㈱ 

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