人生はバック転だ!・・・のビジネスモデル

2009.08.03

営業・マーケティング

人生はバック転だ!・・・のビジネスモデル

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

ちょっとしたことで、人生は変わるのかも知れない。いや、人生は変わらなくても、生きていくキモチが変わるかも知れない。ちょっとした隠し味があれば。

「バック転」のさらにいい所は、「時間はかかっても」というイメージを払拭してくれることだ。「スタッフのサポートで、疑似体験はすぐにできる」と聞けば、「逆上がりみたいなものか!」とイメージがしやすい。きっかけを覚えれば、習得に時間はかからないだろうと思えるのだ。
この、「できる感」。顧客の潜在ニーズを引き出し、それに対して、「すぐに成果が出る」と理解させることは全てのビジネスにとって重要なポイントであるといっていい。

しかし、カンタンにできてしまってはビジネスにならないだろう、と思うとそうではない。
疑似体験の後、一人でバック転ができるようになるための<バック転の習得を目標にした身体づくりを行うクラスです>が用意されている。
最初から「体づくり」といわれれば、なかなかやる気は出ないが、一度成功体験を味わっているので、ハードルは低くなる。うまいシカケだ。
さらに、バック転をマスターすれば、<バック転・側転や前方転回・倒立などの基本的なアクロバット技を習得し、ロンダートからの連続技や前方・側方・後方宙返りなどの発展技を目標にがんばるクラス>もある。さらに、バック転より、さらにあこがれの「宙返り」クラスもある。
アップセリング。顧客に同種の商品の買い換え、買い増しを勧めること。
一つ習得すれば、その快感がクセになり、また次を習得したくなる。そして、まさに、幼き日のあこがれであるライダーの体術そのものが身に付けることができるという仕掛けだ。

一方、関連商品のお勧めは「クロスセリング」という。
カラダを動かす快感に目覚めたなら<なつかしのマット運動から高度な連続技まで>を習得できるというクラスで、「おとなの体操教室」を楽しむもよし、<アクションや演舞等で使えるデモンストレーションキック(蹴り技)専門クラス>というキック専門クラスで「ライダーキック」に磨きをかけるもよし。
さらに、趣旨を変えてダンスにチャレンジしたり、本格的に体づくりをしたりという展開もある。同スタジオは「18種類51のクラス」という豊富なメニュー、多彩な講師陣でクロスセリングのビジネスモデルを強力に固めているのだ。

見込み客の潜在ニーズを掘り起こし、そのニーズが簡便に充足できると提案し、まずは成功体験を提供する。顧客化した後には、アップセリング、クロスセリングで囲い込みを図り、ビジネスを重層化させていく。

「バック転できますよ!」というビジネスモデルは、しっかりと強固であり、学ぶところが大きいのである。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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