『機動戦士ガンダム』の監督として知られる富野由悠季氏が7月7日、東京・有楽町の日本外国特派員協会に登場、自らの半生や映画哲学などについての講演と質疑応答を行った。後半では質疑応答の内容を詳しくお伝えする。[堀内彰宏,Business Media 誠]
彼女が指摘しているものの考え方でビックリしたことは、「歴史を冷戦以前と以後で区切るべきだ」ということです。2007年までの僕は、歴史というものは第二次大戦前と後と考えていたのです。しかし、彼女が指摘している通り、冷戦以前と冷戦以後で根本的に世界構造、それと認識論も違います。
2008年に知ったということは今も勉強中で、ハンナ・アーレントの『全体主義の起源』は今読んでいる最中です。ですからまだ全容は分かっていませんが、少なくとも彼女のものの考え方のロジックを一般化するために、アニメという媒体はとても便利だと、ようやく理解することができるようになりました。つまり、「アニメという表現媒体は時代性に支配されずに、コンセプトを伝える媒体なのかもしれない」と明確になったわけです。
ハンナ・アーレントは「テロというのはアルカイダが起こすのではなくて、全体主義が起こすものだ」ということを言っているのですが、今の話をお分かりになる方はそんなにいないと思います。これから30年かけて、これを分からせたいということです。
もうちょっとだけやさしい話をすると、ハンナ・アーレントが言っている言葉で一番好きな言葉は政治というのはどういう行為かということです。彼女は「人と人の間をつなぐのが政治である」と説明しています。日本の政治家は恐らく政治というのは選挙をやることが政治だと思っているのではないでしょうか。
僕は幸いにして年寄りになりました。年寄りの立場からでしたら、こういうような言葉をロボットアニメのスタイルやかわいい系のアニメに加担して物語ることができるのではないのかなというぐらいの欲望を持っていいのではないかと思うようになりました。
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富野由悠季氏、アニメを語る
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