「爽やかに、健やかに、美しく」。女性から圧倒的支持を集めるブレンド茶のトップブランド、爽健美茶がオトコ化を加速している。その背景にあるものは何だろうか。
カテゴリーシェアを7割も獲得していたら、ターゲット層を広げなくてはもはや成長は望めない。しかし、既存ターゲットと乖離した新たなターゲットを取り込むことは、既存ターゲット層の離反の危険性もはらんでいる。それをおして展開する理由はなんだろうか。
日本コカ・コーラには爽健美茶以外にブレンド茶カテゴリー商品に「からだ巡茶」がある。2006年5月の発売と同時に、目標を3割上回る売れ行きを記録し、2年経っても衰えることがなかったという。女性ターゲットはからだ巡茶に任せて、爽健美茶はターゲット拡大をしてさらなる成長を目指す戦略が見えていた。
一つの誤算は、からだ巡茶とかなりポジショニングがかぶる、キリンビバレッジの「潤る茶」が、昨年のリニューアル以来、絶好調であることだろう。リニューアル発売以来、2ヶ月で100万ケース突破を記録し、快進撃が続いている。爽健美茶とからだ巡茶の2枚看板で万全な、日本コカ・コーラのブレンド茶カテゴリーに見事に切り込んだのである。
女性向けとしてはからだ巡茶をさらに強化し、潤る茶との直接対決に注力する。一方で、爽健美茶はターゲット拡大。ブランドの役割を明確にしてカテゴリーシェア7割という牙城を死守するのが、一連の展開の理由であると考えられるのである。
CMや景品、そして新製品。消費者がなにげなく触れているマーケティング施策の裏側には、メーカーの深謀遠慮が隠されている。そんな裏側をのぞきながら商品を手に取ってみると、いつもの品物もちょっと違った表情に見えてくるのではないだろうか。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。