『機動戦士ガンダム』の監督として知られる富野由悠季氏が7月7日、東京・有楽町の日本外国特派員協会に登場、自らの半生や映画哲学などについての講演と質疑応答を行った。後半では質疑応答の内容を詳しくお伝えする。[堀内彰宏,Business Media 誠]
――以前、宮崎駿監督がここに来た時に言ったことなのですが、どの作品にも寿命というものがあり、映画については30年が限界ではないかと言いました。ガンダムはすでに30歳です。今の若い世代にもガンダムは何か訴えることがあるのでしょうか?
富野 先ほどニュータイプの話をしましたが、「これから50年生きのびる」ということではありません。我々のリアルな命題を(ガンダムでは)定義しているわけだから、残るしかないじゃないですか。そういう意味では、とても不幸なことだと思います。
今の質問でとても重要な問題が1つあります。宮崎監督は作家として作品論を言っていますが、ガンダムは作品として完結していないのです、ガンダムはコンセプトしか定義していなくて、実を言うと作品になりきっていないのです。そういう意味で僕は「宮崎監督に負けた」という敗北感を持っているのですが、根本的に宮崎さんのお話している作品論とガンダムは寄り添っていません。
――ガンダム以前に監督をされた『無敵超人ザンボット3』でも人対人の関係ができていたと思うのですが、それにガンダムは影響を受けていますか?
富野 その部分に関しては多少作家的な意識が働いていて、影響されないようにガンダムワールドを構築しました。ザンボットの要素がガンダムに入ってくることは排除しました。そうしましたので、影響はしていません。ただ、1人の人間が作るものは幅が狭いですから、そういう影響が皆無かと言われればそれは皆無だとは思いません。
~富野由悠季氏、アニメを語る(3)ガンダムは作品ではなく"コンセプト"へ続く~
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富野由悠季氏、アニメを語る
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