「ネクタイを買うと、CO2削減に協力できます」、という京急百貨店が父の日に向けて行っている“楽eco”キャンペーン。キャンペーンを始めた理由やその仕組みについて、京急百貨店に聞いてみた。[郷好文,Business Media 誠]
京急百貨店の6階紳士服売場のネクタイコーナー。並んでいるのは、25ブランド3000本のネクタイ。ラルフローレンでも無名ブランドでも、1本購入すると6キロのCO2吸収量をオフセット、「森林のCO2吸収認定書」ももらえる。1トン分オフセットするのに1000円の負担なので、ネクタイ1本で6キロ分オフセットということは楽ecoのコストは6円ということになる。販売価格は変更せず、京急百貨店が負担するという。
もちろん社内での認定書や販促物制作の費用、関係者の人件費はかかる。提携先(株式会社エコノス=カーボンオフセットのプロバイダー)との費用もあるかもしれない。それでもトータルで大したコストではないだろうから、仕入れ先には負担を求めていないという。定番商品での低コスト販促ということにもなっているのだ。プレスリリースの「販売目標500本(前年368本)」と、スーパー正直な数値にも好感が持てる。
現場からのエコ意識が根付く
京急百貨店では父の日のネクタイだけではなく、お中元でもカーボンオフセットを行う。 2008年はスーパードライと日清オイリオのギフト4品目だけだったが、2009年はキリン一番搾り、カゴメフルーツジュースも加えた7品目で展開。さらに多くの売場で「エコ商品ポイントプレゼントキャンペーン」を開催。エコマーク付き商品が各階にあることで、「各売場の品揃え担当者にエコが浸透してきたのが収穫」と広報担当の宮崎史康マネージャーは話す。
今後の展開にもスジが通る。横浜市水道局の「水源エコプロジェクト(W-eco・p、ウィコップ)」と連携して、横浜市の水源である山梨県道志村の森林10ヘクタールを5年間整備する協定を結んだ。この水源の森林の整備「やまなしの森づくり」のカーボンオフセットを2010年の楽ecoから導入する。遠い地の森林管理よりも、横浜市民が納得しやすいだろう。森林には命名権もあり、「●●の森」の名称は一般公募。記念の植樹式には15組30人の親子を招待する予定だ。
ecoの現実と光明
近頃のエコはお上頼みとお得感だけ。せっかくの景気回復にケチは付けたくないが、「エコカー減税、エコポイントなら買う」という日本人のエコ意識の現実はサムい。
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