映画やテレビドラマなどを制作する上で大きな役割を果たすにも関わらず、監督に比べて地味な存在と思われがちなプロデューサー。東京ディストリビューション・オブ・コンテンツセミナーで行われたGONZOの内田康史氏の講義では、どうアニメを海外に売り込むかということについても語られた。[堀内彰宏,Business Media 誠]
海外展開をする上で大切なこと
海外で仕事をする場合、英語の通訳は必ず付けた方がいいと思います。僕も海外は長いので自分でも英語はある程度しゃべれると思っていますが、ビジネス用語は怖いので、自分の不備にならないよう必ず通訳を付けるようにしています。商習慣も欧州、米国、アジアで全然違います。もの作りでもそうで、例えば宗教観の強い映像表現はご法度です。『天使と悪魔』のような作品もありますが、基本的にはそこは触れない方がいいようです。
また、実写映画をやる場合には各国の俳優を入れてやるかという問題がありますね。ギャガが配給している映画『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』では、木村拓哉さんのほかに、イ・ビョンホンさん、ジョシュ・ハートネットさんというように、その地域で有名なキャストを付けていますが、それもビジネス面では重要なポイントです。また『007』シリーズのように、いろんな地域で撮影して、撮影した地域の観客に来てもらうというやり方もあります。それで映画がつまらなくなるケースもあるので、そこはトレードオフなのですが、プロデューサーはこういうこともある程度考えながらやっていくことが必要ではないかとも思います。
ただ、マーケティングの要素を取り入れすぎたものを作ると、その人の個性はまったく現れなくなります。今僕が言ったことと180度違うのですが、自分が面白いと信じていることを100%表現するものを提供しようというやり方もあります。どっちが正しいか、どっちが間違えているかということは実績で分かることなので結果論でしかないのですが、同じプロデューサーでも作品によっては、そういうバランスを考えながらやっていく必要はあるのではないかと思います。
GONZOの『アフロサムライ』という作品を例にお話します。『アフロサムライ』は共同制作であり、共同出資でもあり、リメイクの権利もありと、複合的に展開している作品です。日本では渋谷のシネマライズで劇場公開しましたが、基本的には米国で放映、出版されていて、ゲームも日本ではまだ発売していませんが米国ではヒットしています。今、実写でのリメイクを準備していて、共同制作権を持っているサミュエル・L・ジャクソンというスターウォーズにも出た俳優と一緒にキャスティングを決めてスタートしています。
『アフロサムライ』 セカンドシーズン-AFRO SAMURAI:RESURRECTION
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