映画やテレビドラマなどを制作する上で大きな役割を果たすにも関わらず、監督に比べて地味な存在と思われがちなプロデューサー。プロデューサーの仕事とはどのようなものなのか、東京ディストリビューション・オブ・コンテンツセミナーでGONZOの内田康史氏が語った。[堀内彰宏,Business Media 誠]
お金集めと契約
この辺までは何となく派手に見えると思いますが、プロデューサーにとって大変な仕事はお金集めです。お金を集める場合、返さなくていいお金としていったん預かって、もうかったらお返しする「投資」が以前は中心でしたが、最近は銀行からお金を借り入れる「融資」も少しずつ増えています。融資は返さなければいけないお金なので、お金を返すためには事業を最後までやり遂げなければいけません。
この辺りまでいって事業の全体像が見えてきたら、さまざまな契約を文書で確定していきます。日本は契約ビジネスに弱いと言われていましたが、最近は大分変わってきていて、映画でも口約束だけではなく、契約書でものを進める状況になってきました。音楽業界ではJASRACがあるので契約には昔からうるさくて、ゲーム業界もプログラムを書く人が仕事していることもあってかキッチリしています。
この契約締結までがプリプロダクションと言われる部分で、ここからは制作や宣伝、そして公開されて皆さんの目に触れるところに入っていくということになります。公開する時、映画を作った場合には最初は基本的に劇場公開、その後、飛行機内での上映権(エアライツ)、ホテル内での上映権などを有料でやりとりします。それから映画公開直後に、スカイパーフェクトTVのペイチャンネルで1000円で見られるようにするといったこともあります。
最近出てきているのがVOD(ビデオ・オン・デマンド)化権。ネットでの配信権で、ネットカフェなどで視聴できるといった権利で、今注目されています。そして、ビデオグラム(ビデオテープ、DVD、ブルーレイディスクなど)化があって、フリーTV化は地上波でただで見られるということです。非劇場化というのは、一般からではなく地方自治体などからお金をもらって公会堂などで上映することです。“文部科学省推薦”と書かれているような映画によくあります。
ここまでは作られた映像を使った商売ですが、線から下は作品中のキャラクターを使って、おもちゃやフィギュアを作ったり、世界観を使ったゲームを作る権利のことです。また、ディズニーであるようなアトラクション化、ディズニー・オン・アイスも1つのアトラクションだったりしますが、そういうものを作る権利もあります。最後に翻案化というものがありますが、これは「作品を原作にして、ハリウッドで映画化する」といったことです。
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映画プロデューサーの仕事とは
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