映画プロデューサーの仕事とは(2)~映画はこうして作られる~

2009.06.25

営業・マーケティング

映画プロデューサーの仕事とは(2)~映画はこうして作られる~

ITmedia ビジネスオンライン
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映画やテレビドラマなどを制作する上で大きな役割を果たすにも関わらず、監督に比べて地味な存在と思われがちなプロデューサー。プロデューサーの仕事とはどのようなものなのか、東京ディストリビューション・オブ・コンテンツセミナーでGONZOの内田康史氏が語った。[堀内彰宏,Business Media 誠]

 流れを説明すると、プロデューサーはテレビ局や配給会社の人たちに「この原作で、このキャストでこういう映画を作ります。脚本とキャストしか分からないのでどんな出来になるかは分からないのですが、できあがったら最低これだけのお金を払ってください」と交渉します。最初から資金を出したくはないけれど、ブラッド・ピットが主演で、スティーブン・スピルバーグが監督だったら、ある程度は売れるのではないかと思う会社があれば、「映画ができあがったら権利を買いますよ」という内容の契約をします。

 「できあがったら買います」という契約のことをネガティブピックアップと言うのですが、プロデューサーはその契約書を持って銀行に行きます。銀行としては映画が完成するか分からないし、ブラット・ピットが辞めてしまうリスクもあるので保険会社に保険を頼んだ上で融資をするのです。すると保険会社は作品が完成しないと困るので、「スケジュール通りに制作が進んでいるか」「クオリティが守られているか」ということをアシスタントプロデューサーとして毎日現場でチェックをします。こうしてものが完成したら、ネガティブピックアップした配給会社に契約書の金額で買ってもらって、そのお金を銀行の方にそのまま返すのです。

 その段階ではプロデューサーの手元には基本的に何も残りません。しかし、映画が公開されてお金が入ってきたら、作品の権利を持っているプロデューサーにもどんどんお金が入ってくる仕組みになっているので、米国ではみんな独立してプロデューサーをやってお金持ちになっていくのです。米国では銀行にいた人や弁護士、公認会計士がプロデューサーの仕事をしているケースがとても多いです。

 なぜそうした高収入の人がプロデューサーになるのか? 作品を制作する流れの中で、弁護士は契約書のところ、公認会計士は全体のスキームの管理の仕事をするのですが、全体像が見えてくると「こんなおいしい商売はないだろう」とみんな思うのです。「こういうスキームで商売をすると、自分はどれだけ稼げるか」というのは、自分がお手伝いしたプロデューサーを見ていれば大体分かるので、みんな自分の仕事を投げ打ってプロデューサーになるのです。

 僕がギャガに在籍していた時、独立したプロデューサーのところに行って、彼らが作る映画を買うための交渉をすることがよくありました。そんな時に「内田くん、よく来たね。うちにおいでよ」となって彼らの家でパーティすることになると、10年前に1作品だけ当てたというプロデューサーでもビバリーヒルズに500坪くらいの家を持っていて、門から玄関までクルマで5分かかるといった生活をしているので、「みんながプロデューサーになりたいと思う気持ちは分かるなあ」と感じました。

 お金を目的に仕事をしている人がどれだけいるかは分かりませんが、一山当てればそれだけの報酬を稼げるということはある意味面白いことだと思いますし、公平なことだと思います。

~映画プロデューサーの仕事とは(3)~アニメを海外に売り込む方法~に続く~

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