映画やテレビドラマなどを制作する上で大きな役割を果たすにも関わらず、監督に比べて地味な存在と思われがちなプロデューサー。プロデューサーの仕事とはどのようなものなのか、東京ディストリビューション・オブ・コンテンツセミナーでGONZOの内田康史氏が語った。[堀内彰宏,Business Media 誠]
最近いくつか出てきているのが、2ポットの製作委員会という考え方です。下図のように、日本の製作委員会と海外の製作委員会を作って、それぞれ自分のテリトリーで商売をしましょうというやり方です。海外に対してほとんど仕事がしたことがない日本の会社の中には、「海外から入る収入を期待して商売することはできない」というところもあるので、そういう会社は国内の製作委員会の出資だけでやっています。逆に海外の会社には、「日本ではどういう商売になるのか分からないから、海外だけで商売を進めていきたい」ということもあるのでポットを分けるケースがあるのです。
2つだけではなくて、3ポット、4ポットでやるケースも増えてきています。ハリウッドではスプリットライツという言い方をしているのですが、米国での配給は20世紀フォックスでやるけども、それ以外の地域での配給はドリームワークスでやるというような例があります。1997年の『タイタニック』が好例ですが、1社で300億円の制作費を負担できないので、20世紀フォックスが米国での配給はパラマウントにお願いしてお金を先にもらうというやり方をしていました。
投資だけではなく、銀行から融資を受けてものを作りましょうというやり方もあります。融資の場合は返済することが大前提になるので、返済できる見込みがある事業であればそういうやり方もありだと思います。
米国のプロデューサーは?
米国のプロデューサーはどうやっているか? 米国のプロデューサーは自分でリスクをとって会社を作っているので、そのリスクに見合うだけの報酬をもらいたいと考えています。そのためにどうするかというと、著作権を自分が持つ形にするのです。そうすると成功した時に全部自分のものになりますから。
それでは著作権を自分が持つためにはどうしたらいいかというと、すべての資金を自分で調達することが一番簡単です。しかし、自分の信用力で銀行からお金を借りられる人はそんなにいないですし、やろうとしている事業が商売になるかどうか見極める力は銀行の人たちにないので、簡単には融資してくれません。
ではどういうスキームがあるかというと、“完成保証”なる「ものができあがったらお金を返してください」というシステムがあります。銀行が融資する際に完成保証という保険が担保としてかけられるのです。
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映画プロデューサーの仕事とは
2009.07.02
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