映画やテレビドラマなどを制作する上で大きな役割を果たすにも関わらず、監督に比べて地味な存在と思われがちなプロデューサー。プロデューサーの仕事とはどのようなものなのか、東京ディストリビューション・オブ・コンテンツセミナーでGONZOの内田康史氏が語った。[堀内彰宏,Business Media 誠]
こうした契約をしていく時に、「この権利は誰が持つのか」ということを明記して、「この人たちに商売してもらって、どのくらいのマージンを返してもらうのか」「どれだけの在庫を確保して、在庫リスクはこっちがとるのかそっちがとるのか」といったことも全部契約の中で定義します。ちょっと難しいことを言っていますが、業界に入れば仕事していく上である程度の契約書のひな形は手に入ります。僕らもこの仕事を始めた時には勝手が分からなかったので、そういう仕事を生業にしている弁護士の方に顧問に入っていただいて、契約書という形でひな形を作っていただいて、各プロジェクトごとに条件を変えて、だんだん自分のひな形を作っていくという作業を3~4年かけてしていきました。今はWebサイト上にも、いくつかこういうひな形がアップされて出ていると思います。
これまでお話した内容をすべてこなす能力を持っているいる人はいないと思います。ただ、プロデューサーの仕事をする上では、どこかがすごく強ければ全部が専門である必要はありません。契約書は弁護士の方に頼めばいいし、開発(計画)は税理士や銀行の方にお願いして知識をもらえばいい。自分はもの作りのところ、監督と向き合って話し合いをするところに強くなろうと思うなら、そこに力を特化すればいいと思います。しかし、プロデューサーは収益を出してなんぼなので、金銭管理の部分だけは絶対に外せません。100使ったお金に対して、100以上のお金を稼ぐということは商売をする上で大前提です。
製作委員会とは
製作委員会というのは僕の会社を例に挙げて説明すると、まずGONZOで企画開発をして著作権を作ります。そして、出版社さんやビデオメーカーさんたちと権利の交渉をしながら製作委員会をみんなで作って、出資者を募ります。そして完成した作品をテレビ放送したり、DVDで売ったり、ゲームにしたり、海外に売ったりといろんな形で権利を行使して、資金を回収します。製作委員会では出資するパートナーと、事業をするパートナーがほぼ一緒なのですが、投資する顔と事業する顔は2つに分けるというのが基本的な考え方です。
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映画プロデューサーの仕事とは
2009.07.02
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