映画やテレビドラマなどを制作する上で大きな役割を果たすにも関わらず、監督に比べて地味な存在と思われがちなプロデューサー。プロデューサーの仕事とはどのようなものなのか、東京ディストリビューション・オブ・コンテンツセミナーでGONZOの内田康史氏が語った。[堀内彰宏,Business Media 誠]
違う言い方をすると、企業経営者には営業畑からトップになった人も、管理畑や人事畑からトップになった人もいるように、プロデューサーも誰でもなれると思っています。絵を描く人からプロデューサーになった人もいるし、僕も20代は全然違う仕事をしていたのですが、異業種からの転職組でもプロデューサーになれるケースもあります。
プロデューサーの仕事
プロデューサーの一番大事な仕事は「何を原作とするか」ということです。マンガや小説を原作にして映画化することもありますし、自分でオリジナルを考えて映画化することもあります。
ただ昨今では、マンガや小説などの原作がある方が事業にしやすくなっています。プロデューサーとは言ってもサラリーマンが多いので、上に企画を通す時に「マンガが何万部売れているんです」というように稟議書に書きやすいのです。日本ではみんなどんどんオリジナルから離れてしまい、原作ものが中心になっています。実はハリウッドも同じ苦労を抱えていて、「ハリウッドは続編しか作れない」と揶揄(やゆ)されることもあります。個人的にはオリジナルものと原作ものが半分半分ずつくらいなのがいいのではないかと思います。
プロデューサーは一般的にどのくらいの企画を持って動いてるのか? あるプロデューサーは「常に企画は40本を切らないようにしている」と言っていました。40本の企画をいつも動かして、それが絞られて最終的に1本のヒット作になったりするのです。ただ、彼のように企画を多く持つやり方もあれば、 1本に注入して成功率を高めていくやり方もあるので、一概には言えません。
原作が決まると、次のステップは脚本化になります。作品がどういう骨組みになるのかという設計図と言ってもいいと思います。この設計図があると、いろんな会社に売り込んでいって、「これに参加しませんか」「お金出してくれませんか」という話ができる状況になります。売り込む時には、アニメでも映画でもすべて「脚本は何?」とたいていは言われるからです。もちろん原作によっては脚本ができていなくてもお金が集まることもありますが。
普通は脚本が完成したら、次はその設計図をもとにどういう風に施工するかという話、つまりスタッフィングの話になります。アニメなら監督やキャラクターデザイナー、映画なら主演、助演、監督などです。スタッフィングはお金が付くかどうかという上で非常に重要です。例えばアニメだと、CLAMPさんがキャラクターデザインを担当するとなれば、CLAMPファンは何十万人もいるので、ある程度の事業の採算性が見えます。映画だと、松山ケンイチさんや木村拓哉さんが主演するとなれば、企画にある程度のバリューが付くので、テレビ局が「参加させてください」と言ったり、どこかの配給会社が「やらせてください」と言ってくれるようになるのです。
~映画プロデューサーの仕事とは(2) 映画はこうして作られる へ続く~
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映画プロデューサーの仕事とは
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