「トランジション」とは、節目、転機であり、キャリアの移行期のこと。 従業員が主体的に社内キャリアの転機を乗り越えるには?
それぞれであるが、40歳といえどもビジネスキャリア後半の20年は決して短くない。
次の節目は45~50歳、この年代での主なテーマは社内外のキャリア再構築というものである。
成果主義型の人事制度においては、35歳~40歳前後において、ある程度の貢献スタイルが確定したとしても、その後の状況変化に応じて、ポストオフ、出向、転籍など、貢献スタイルの再構築を迫られる事態に直面することもある。
これからも専門性を武器にしてプレーヤーとしてやっていけるのか、違った貢献を模索するのか、まさに貢献スタイルを再構築し、場合によってはネガティブな社外転出を余儀なくされることもある。
この段階で貢献のスタイルが定まらないと、後の社内キャリアは漂流することになる。
50歳以降の気づきの場に関しては、定年までの働き方、スタンスを明確化すること、また、定年後のセカンドキャリアを考えることが主なテーマとなる。
定年を待たずに早期退職制度などを活用する方もいるが、60歳以降の雇用延長施策が注目されるなか、50代のキャリアは多様である。
「銀の卵」ともいわれるシニア人材の活用が叫ばれるが、企業から見て「残って欲しい人」は限られている。
いずれにしても、50歳代のキャリア研修受講者は、「このような物の考え方があるのなら、もっと早く教えてほしかった」と口をそろえて言う。
もちろん、25歳と55歳ではライフキャリアステージと課題が違うが、このような年代別の気づきの場は、キャリアの移行期を乗り切るための準備として重要な機会なのである。
ちなみに、冒頭の事例のAさんはどうしたか?
課長昇進を断って、古巣での商品企画の仕事で貢献することを選択し、商品開発のプロジェクトリーダーとしてこれまで以上の活躍をした。
3年後に今度は所属部門の課長昇進の打診があったが、それも断った。
40歳以降の20年間、この会社の管理職としてポジティブなイメージが持てなかったからである。
その後、38歳で外資系の企業に転職して新たなキャリアを切り拓いている。
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2007.08.22
2008.02.17
増田 崇行
株式会社クエストコンサルティング 代表取締役
2006年5月に株式会社クエストコンサルティングを設立しました。 組織人事領域におけるプロデューサーとして、クリエーターとのコラボレーションによりユニークなサービス、ビジネスを開花させてきました。今後も「Quest for the Human Brightness」をコンセプトとして、インパクトのあるサービスを開発しご提供することで、人と組織の本質的価値の向上に貢献できたらと考えています。