「友達の友達」がアルカイダであると宣った鳩山大臣が更迭された。自民党の右往左往も、都市伝説化しそうな気配だ。 それにしても、「友達の友達」という微妙な関係から発信される物語には、こうも伝播力があるのだろうか?
では、なぜ、それは拡がる力を持つのか?
「友達の友達」の話をすることに、
人間は、潜在的に何らかの意義を感じているからではないだろうかと思う。
「友達の友達」は、実際に、見たことも、逢ったこともないけど・・・
そこには、何らかの力が働いているはずだ。
そこで、こんな面白い実験研究を紹介する。コレステロールが高いと心血管系異常の危険性が高くなるとか、タバコをやめると脳卒中や冠動脈疾患、肺がんのリスクが減るなんていう研究発表をしている有名な機関のニコラス・クリスタキス教授の研究論論文に、「広い社会的ネットワークにおける幸福の力動的伝播について:フラミンガム心臓研究における20年間の長期的分析」というのがあるらしい。調査対象12067人で行った「幸福の力動的伝播」の研究結果は、以下の通り。
※「医学都市伝説」より抜粋。
直接的につながる人々が幸福であるほうが、自分も幸福になりやすいという傾向はあるものの、その差はそう大きくはなく、友人を例に取ると、友人の友人、友人の友人の友人までは、はっきりとした幸福化作用が働くという。
これは社会的距離だけでなく、住居の距離、また時間的な間隔でも、結構離れていても同じことが言えるらしい。不思議なことに、仕事仲間では、こうした関係性がまったく認められなかったと言うことだ。
つまり、直接は名前も知らない友人の友人の友人が幸福なら、自分も幸福になりやすく、それは10数キロ離れたところに住んでいる人であっても、二年ほど前に幸福であることを知っているだけでも、統計的優位な「幸福化」作用が働くということだ。
「幸福化」作用を見ると、もっとも効果が強いのが「近くに住む親しい友人」で、次が「隣人」、その次が「近くに住む普通の友人」、その次に「近くに住む同朋」が来て、「一緒に暮らす配偶者」は5番目、というのが一番の笑いどころ。
幸せな友人たちと付き合い、見知らぬ幸せそうな人と道端ですれ違い、幸せな隣人に囲まれていれば、不機嫌でイラついた不幸せな嫁さんと暮らしていようと、幸せでいられるということのようだ。ちょっと距離を置いた他者のほうが、より感情的な影響性を与えられるというのは確かに感じることなので、その辺が社会的な側から示唆されていると言うことなのかも。とある。
この研究結果も、都市伝説のひとつなのかもしれないが・・・。
「友達の友達」ないしは「友達の親戚」の話をするという都市伝説は、微妙な関係性を活用しながら、たわいもない話をするという幸福感を共有するためにあるのではないかと考える。
家にいるイライラした顔の嫁さんの話をするより、脳天気で幸せそうな「友達の友達」の噂話や体験談の方が、自分に幸せをもたらしてくれることを、人間は体感として知っているのだ。きっと。
「友達の友達の友達が幸せなら、私も幸せ」
「友達の友達の友達の脳天気は、私も脳天気にする」
『友達の友達』に伝播力があるのは、人間は、身近な関係だけでは、なかなか幸福感が得られないという現実の裏返しである。
だから、麻生首相との身近な関係で幸福感が得られない鳩山大臣が「友達の友達がアルカイダ」であると言っちゃうのも頷けるっ。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
私的マーケティング論
2009.09.21
2009.09.18
2009.09.15
2009.07.23
2009.06.14
2009.06.12
2009.05.30
2009.05.24
2009.04.21
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。