いわゆる物産館と思ったら大間違い、今、アンテナショップが面白い! 特に激変しつつあるのが、そのスタイリッシュさ。 ショップの場所も、銀座界隈に集中しつつあります。 果たして、何を狙っているのでしょうか。
ひと頃前のアンテナショップと言えば、
各都道府県の名産品が購入できたる“物産館”のような感覚。
東国原知事率いる宮崎県「新宿みやざき館」は年間5億円、
沖縄県の「銀座わしたショップ」は年間9億円超の売り上げがあるとか。
その形態も最近はずいぶんと変革しつつあります。
例えば、
銀座一丁目にある大分県の「坐来(ざらい)」。
“物産館”の気配は全くありません。
まさに、“上質な和テイストレストランバー”です。
お土産品も扱ってはいますが、
“ギャラリー”として、セレクトショップ風に発信しています。
“上質な和テイストレストランバー”ですから、
様々なことにこだわっています。
もちろん、食材は大分の地物。
関アジ・関サバ・豊後牛・豊しゃも・柚子・白桃…
ドリンクだって、
大吟醸の沙羅・純米吟醸の丹誠・鷹来屋・リキュールのカボス・柚子…
器は、
小鹿田焼(おんたやき)を用いているらしい…
調度品も、大分工芸だとか…
また、同じく銀座一丁目にある山形県の「おいしい山形プラザ」。
庄内の超人気レストラン・アルケッチァーノの奥田シェフが
「ヤマガタ・サンダンデロ」を出店。
もちろん、山形の地物を使ったイタリアンを
清潔感のあるカフェ風レストランで満喫できます。
「おいしい山形プラザ」はもともとは、虎ノ門にあったけれど、
最近銀座に移転をしたそうです。
虎ノ門では、客層が限られるし、土日は開店休業状態。
銀座であれば、幅広い客層・土日も有効、
地価2倍近くの銀座ですが、採算は十分見込めるようです。
アンテナショップは、現地に行かなくても、
地のものが買える!というお得感がありました。
しかしもはや、各都道府県のアピールとともに物産を販売する
ダイレクトな宣伝広告場所に留まらないスポットになってきています。
お土産品のように、明らかに地の物とはわからないかもしれない、
でも、その空間・味わい・感触・居心地…からの印象を植え付け、
「今度は友人とのランチ会に使ってみよう」というリピーター客、
「この器で飲むと日本酒がおいしくなる」という潜在顧客、
「この食材を使って、顧客に料理を提供したい」という銀座界隈の飲食店オーナー、
「実際に現地に行って、もっといろいろ楽しみたい」という観光客予備軍、
などが増えます。
さらに銀座であれば、ビジネスパーソンの利用も期待でき、
展開次第で思わぬビジネスチャンスに繋がることも考えられます。
“物産館”ではなく、戦略の場として活用しているということです。
やっと、民間企業的発想を持ち始めたということでしょうか。
しかし考えると、民間企業の経営戦略・顧客開拓は、
ここのところ、目先事に終始するばかりにも見えます。
ひょっとすると、アンテナショップが顧客開拓のモデル事例になることも
あるかもしれません。
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