インターネットを活用し低価格で生命保険を提供するライフネット生命保険。既存生保に対する問題意識から生まれた同社は、ネット専業の保険会社として幾多の障害を乗り越えて事業開始に至っている。規制にがっちりと守られてきた保険業界に風穴を開けた同社の誕生秘話を探る。
後発だからこその優位性がフルに生かされているのだ。すでにでき上がったシステムを使わざるを得ない既存の生命保険に比べて、最新鋭のシステムを使い、まっさらなデータからスタートするライフネット生命の優位性は明らかだろう。
■コスト削減にもネットを活用
「ありがたいことにお金集めは順調にいきました。あすかDBJ、マネックス、新生銀行、セブン&アイ、三井物産、リクルートと中核となってくださる6社が決まり、合計80億円の資本を出していただけることになりました」
プレゼンテーションで出口氏が話したポイントは5つある。まず市場規模の大きさ、日本人が一年間に支払う生命保険料は40兆円以上にもなる。一方では、保険金不払い問題など消費者の不満は大きい。これを受けて業法改正など追い風が強く吹いていた。そこにライフネット生命は、インターネット販売による「わかりやすく安くて便利な商品・サービス提供」という明確なソリューションを持って参入するのだ。そして最後が免許事業による参入障壁の高さである。
「すでに銀行では保険の窓販も始まっていました。蟻の一穴は開いていたのです。当時、問題となっていた保険料の不払いも、我々は商品をシンプルにすることでなくせると考えていました」
そして業界のタブーとも考えられていた生命保険の原価公開に踏み切る。もちろん公開時には既存の生命保険会社からの反発もあっただろう。しかし、ブログなどのネット上ではライフネット生命の勇気ある行動が高く評価され、話題を呼んだ。その結果、一挙に加入件数が増えた。
「広告予算をかけたくても、コスト削減と矛盾する行為は私たちにはできません。その意味でネット上でのクチコミの広がりは、我々にとって大きな力となりました」
コストには徹底的にこだわるのである。オフィス選びに際しても坪単価2万円台前半でなければ絶対にダメというのが出口氏の基準だった。コストを絞るのなら、採用にも経費はかけられない。現時点で50人もいる社員はどのようにして集められたのだろうか。
「必要なセクションについて募集はもちろんかけますが、私をはじめ社員が書いているブログを読んで入社を希望してくる人が後を絶ちません。本当にありがたいことだと感謝しています」
同社では採用審査も少し変わっている。とはいえライフネット流当たり前の一つになるが,何より重視されるのがすでに在籍するチームメンバーとの面談である。あるグループに入りたいという人がいれば、該当グループのメンバーが入れ替わり立ち替わり徹底的に面談を行なう。
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FMO第23弾【ライフネット生命保険株式会社】
2009.05.26
2009.05.19
2009.05.12
2009.04.28