今日は、主に製品デザインに活用されている 「感性工学的方法」 を「ブランディング」にも応用してみたという事例です。 この取り組みをやっているのは、セイコーエプソン(株)。 SPSSの「Data Mining Day」(2007年7月12日開催)における、 同社担当者の講演から、ポイントをご紹介します。
さて、そもそも製品開発に活用される「感性工学的方法」
ですが、セイコーエプソンでは、次の3層構造を
基本の枠組みとしています。
・態度(最上層)
・イメージ(中位層)
・認知部位(最下層)
「態度」とは、消費者が製品を見た時の「評価」のこと。
「かっこいい」「買いたい」といったポジティブな気持ち、
あるいは、「ダサイ」「買いたくない」といったネガティブな
気持ちです。
「イメージ」とは、製品から消費者が受ける「印象」のこと。
「斬新」「スタイリッシュ」「上品な」「柔らかい」
などといった形容詞で表現されることが多いでしょうね。
「認知部位」とは、製品の「形」や「色」のこと。
セイコーエプソンの基幹商品であるプリンターで言えば、
プリンター全体の形、色(の組み合わせ)、液晶画面の形、
操作ボタンの形状などのことです。
そして、この3つの関係を説明すると、
「認知部位」、すなわち「製品の形状や色」を見た消費者は、
それに対してなんらかのイメージを抱く。さらに、
そのイメージが、最終的にその製品に対する評価である
「態度」の形成に影響を与えるということになります。
要するに、消費者心理の変化は、
最下層から最上位へと移ります。つまり、
認知部位→イメージ→態度
となるわけです。
感性工学的アプローチでは、
「認知部位」と「イメージ」の因果関係
「イメージ」と「態度」の因果関係
をアンケート調査などに基づいて分析します。
そして、たとえば同社のターゲットユーザーが
「買いたい」
と思わせるプリンターを開発するには、
・彼らがどんな「イメージ」を製品から受けるべきなのか
・そして、そんなイメージを彼らに与えるためには、
プリンターの「形状や色」はどんなものが望ましいのか
を探り、製品デザインに活かすというものです。
さて、この感性工学的アプローチの研究に
取り組んでいた同社担当者は、
「ブランディング」(コーポレートブランドの確立)
にも応用できるのではないかと考えました。
感性工学的アプローチに基づくブランディングの
基本的枠組みは次の3つの要素からなります。
・態度(最上層)
・ブランドイメージ(中位層)
・アクセスポイント(最下層)
「態度」は、企業に対する「好き」「嫌い」といった評価。
「ブランドイメージ」は、
「先進的」「伝統的」といった企業に対する印象ですね。
そして、「アクセスポイント」とは、
企業が、広報・広告などを通じて行う
「マーケティング・コミュニケーション」
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2007.08.03
2007.10.04
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。