生物の進化=社会・企業の進化

2007.07.30

経営・マネジメント

生物の進化=社会・企業の進化

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

旭山動物園の小菅園長のお話の中で、 もうひとつ、印象に残った内容をご紹介したいと思います。 (なお、説明のわかりやすさのため、私が若干補足しています。) それは「生物の進化」についてです。

生物は、安定した環境にあり、
そこにうまく適応できている状況では、
徹底的に「異物」を排除します。

なぜなら、「異物」は
自らの存在を危うくするものだからです。

ところが、環境の激変などにより適応が困難になっていく
状況では、異物を受け入れる

「スキマ」

ができるというのです。

異物は、そのスキマから入り込み、
生物に変異を起こします。

そうして変異を起こした生物の中から、
新たな環境に適応できる能力を備えた生物が生き残り、
「命」をつないでいきます。

この話の示唆するところ、それは、

自らの生存がおびやかされるような外的変化が起きないと、
生物はなかなか変化を受け入れない

ということです。

これって、社会や企業においてもまったく同じことが
言えますよね。

異端のリーダーが登場し、
社会や企業が大きな変革を受け入れるのは、
安定期ではなく、外部環境が大きく変化する時期だけです。

実は、

「動物園」

という存在において、「旭山動物園」は、
数々の常識を破ってきた「異端」です。

そして、動物園が生き残るための

「次世代のあるべき姿」

を先取りして見せていると考えることができます。

小菅園長によれば、動物園の来園者数は、
数十年前は全世界で

年間10億人

と算出されていたそうです。

ところが、現在はそれが

同8億人

にまで落ち込んでいます。
日本の動物園でも減少傾向は顕著でした。

全世界的に「動物園」の存在意義が
問われていると言えます。

そんな中で、「旭山動物園」の革新は、
年間26万人というどん底の来園者数を記録した96年から、
わずか10年で300万人を突破するほどの驚異的な復活を
導きました。

そして、その成功を見て、他の動物園も、
旭山動物園が先行した「行動展示」「能力展示」などの、
これからの環境に適応できるスタイルを取り入れて
自らを変革しようと取り組み始めています。

その結果、上野動物園の場合、
昨年度は60万人も来園者数が増えたのだそうです。

もし、あなたの企業が、
現在の激変する外部環境への適応に苦しんでいるようなら、
企業内に潜んでいる「異端の人」が活躍できる

「スキマ」

を作ってあげる必要があるんじゃないでしょうか。

これまでと同じように「異端の人」を
つぶしていたら、会社の将来はおそらくありません。

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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