一冊の本を出版するのは本当にたいへんなことです。
そもそも「購買本を世の中に発表したい」という思いから
数多くの出版社の方に企画を持ち込んだのは、3年半前のことでした。
その企画は「世界一のバイヤーになってみろ!」というメルマガで
バイヤー界に新しい風を吹き込んだ坂口さんと私、他2名の合計4名の
現役バイヤーおよびバイヤー出身者の共著ということで、
坂口さんのエッセー+解説という形で今までにない購買の世界を分かりやすく、
かつ面白く伝えることを考えたのでした。
しかし、「購買・調達」分野の出版物で尚かつ、
小説風の出版物は前例がないこと、売れないリスクが高いこと、から
多くの出版社さんから断られてしまいました。
購買本がどの程度売れるのか?
そもそもこの分野の専門書が少ないこともあり、
どの出版社さんも乗ってくれなかったのです。
専門書もしくは、分かりやすい基礎解説本
(業界的には、はしご本というそうです)であれば
ある程度買取を条件で出版できます、という出版社さんもあったのですが、
我々としては当初の構想を崩したくなかったのです。
そうこうしているうちに原稿だけは書ききりました。
これをPDF化してWebでのみ販売し始めたのです。
これが「世界一の購買部を作ってみろ!」だったのです。
2006年の年末のことでした。
(2008年3月に出版された「だったら、世界一の購買部をつくってみろ!」
という本の元になったものです)
そうこうしているうちに、
ある出版社さんの編集者が坂口さんのメルマガに興味を持ち
2007年4月に「調達力・購買力の基礎を身につける本」が出版されたのです。
これが大ヒットして今では何と第6刷です。
私も専門家ではないので良くは分かりませんが
出版の世界で再刷するのは全体の数%だそうです。
ましてや第6刷というのは大ヒットと言ってもよいでしょう。
同時期にアクセンチュアの「強い調達」という
マネジメント向けの購買本も出版され、同じように好評を博しました。
実は、この二冊の本が出版されたことで
今の調達本の出版ができるような環境ができてきたのです。
それまでは、「購買・調達分野には専門書がない(少ない)」と
言われていました。
これはそういう専門家が少ないということと同時に
マーケットニーズが少なく出版リスクが高いと考えられていたからなのです。
これをブレイクスルーするきっかけになったのが正にこの二冊の本でした。
その後は皆さんもよくご存知のように、
坂口さんは「会社の電気はいちいち消すな」で共著も含め9冊目を出版、
私も今回2冊目の出版をいたしました。
私は本を出版すること自体が目的ではありませんし、
本を出版したことで仕事が増えるきっかけになった、という実感もありません。
ただこのような時代になったことは喜ぶべきであると思っています。
今後坂口さんや私だけでなく、
数多くの現役バイヤーや購買・調達にかかる仕事に携わっている方々が
出版する機会が増えてくるでしょう。
多くの方々の洞察や理論、方法論、手法に触れる機会が増えてきているのです。
また逆にこのような機会を活かせる多くの方々がでてくることを期待しています。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。