ロフトワークが日本最大のクリエイターネットワークを築けた理由1

画像: chiaki hayashi

2009.03.24

開発秘話

ロフトワークが日本最大のクリエイターネットワークを築けた理由1

INSIGHT NOW! 編集部
インサイトナウ株式会社

『ロフトワークドットコム』はクリエイティブのインフラサイトである。抱えるクリエイター数は1万人あまり、そのクリエイターをクライアントと結ぶのがロフトワークのプロジェクトマネジャーだ。単なるマッチングではなく、プロジェクトマネジメントを付加価値とするロフトワークのシステム、その背景にある考え方を紹介する。

「そのうち名刺作ってください。ハガキをデザインしてくださいという感じでぽつぽつ仕事が入ってきたんです。でも、そこからが大変で、その先に待っていたのはイバラの道でした」

ビジネスモデルはマッチングによる手数料収入がベースだ。クリエイターとクライアントのマッチングが成立したら、売上の10%を手数料としてロフトワークが受け取る。

「例えば1万円で名刺ができましたとなると、手元にくるお金は1,000円。それで何ごともなければまだしも、結構クレームが入ってきました。想像していたようなハッピーエンドにはなかなかならない」

クリエイターとクライアントの意思疎通に本質的な問題があったのだ。すなわちクリエイターとクライアントは、まったく違う世界に生きる人種である。だから話すコトバが違う。当然、お互いは普通に話しているつもりでも、ささいな行き違いが生じがちだ。

「全部がそうだったわけではないですが、トラブルが起こると全部私たちのところに来る。1,000円の手数料でクレームに対応しながら、何かおかしいと思いはじめたのです」

マッチングビジネスでの予期せぬクレームに加えて、クリエイターのためのショップ機能も思った通りには機能しなかった。

「出品してくれたアーティストが30人ぐらいいたと思います。焼き物のお皿に絵、インドジュエリーにポストカードが売られていました。でも、あまり盛り上がらないので私の母親が編み物を出品してくれました」

そのストールが売れた。とはいえ買い手を探ってみるとお母様の友だちだった。しかも売値が1000円だからロフトワークに入る手数料は100円。さすがにお母様から次のようにいわれたそうだ。

「千晶ちゃん、私はこのストールを一体何枚編めば、お給料もらえるのかしらって。そのとき気付いたんです。これはダメだな、ちょっと違うぞって」

こんな調子でスタートしたロフトワークの初年度決算は売上わずかに10万円あまり。インフラとなるシステム投資にはすでに相当なお金をかけている。当然、初年度は赤字決算に終わる。しかも、次の一手がまったく見えない状態だった。

⇒次回「クライアントとクリエイターをつなぐために」へ続く(全四回)

『株式会社ロフトワーク 関連リンク』
・Web制作をはじめあらゆる制作、デザインのニーズに応えるロフトワーク
 http://www.loftwork.jp/
・日本最大のデザイナー、イラストレーター、映像クリエイター、その他全てのクリエイターのためのポータル loftwork.com
 http://www.loftwork.com/
・ウェブのエキスパートの為の情報ポータル 「ウェブエキスパート」
 http://www.webexp.jp/
Webプロジェクトマネジメント標準 PMBOK(R)でワンランク上のWebディレクションを目指す/
・林千晶ブログ【女性ベンチャー起業家の細うで繁盛記】
 http://www.loftwork.jp/blog/chiaki/

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