偉い人、普通の人。著名人に無名人。社長さんに現場の人。大先生から生徒さん、そしてときには幼稚園の子どもに中華人民共和国山西省大原市発電所所長さんまで。いろんな人から話を聞きまくってきた結果、掴んだインタビューのコツを少し。
たとえば相手がいつも聴かれている質問をほんの少しでいいから違う角度から尋ねてみるとか、誰でも答えられる質問だけれど過去のインタビューではあまり聴かれてないような質問から入るのがいい。
こうして切り出しを上手く運び相手を乗せることができれば、そこから先が真剣勝負である。
もちろんインタビューのテーマは常に頭のてっぺんに置いておかなければならない。かといってテーマにこだわるあまり、おもしろい話に突入しようとする勢いを殺いでしまってももったいない。相手が話したがっていることを話させてあげるのが一番である。
心がけたいのは話の流れを読み、相手の考えを先回りしながら、あえて相手が言いたそうなこととは違う質問を挟むこと。これが肝である。
話の流れに没入して、相手と息を合わせるように聴くことに集中していると、次に相手が言うことが何となく読めてくる。そこで、相手の次の言葉を先回りして間の手として挟んであげると、インタビューは実に心地よく転がっていく。もちろん、それでたいていの場合はよい。
しかし、それでは予定調和的に過ぎて発見がないのだ。ここでいう発見とは、聴き手である自分にとっての発見だけではなく、話し手である相手にとっての発見でもある。
要するに、せっかく一期一会のインタビューをするのだから、相手にも何かおみやげをあげたいではないか。となると話が予定調和的に完結してしまったのではおもしろくない。そこであえて不協和音をはさんでみる。もちろん、これは簡単なことじゃないかもしれない。下手すると相手を不快にさせる恐れだってある。
でも、うまくいくと相手が発見を得る。「へぇ?。このテーマについては今までこういうふうに答えてきたけれど、こんなこともオレは考えるんだ」といった具合に相手が新たな気づきを得れば、そのインタビューはたぶん大成功だ。
常々インタビューはジャムセッションみたいなものだと思っている。テーマとコード進行が決まっていて聴き手の役目はリズムキーピング。ソロプレイヤーにどれだけのびのびと心地よくプレイしてもらえるかが、そのセッションのクオリティを決める。セッションが白熱して、新たなフレーズが生まれでもしたらベリーグッド。インタビュアーとインタビュイーが共感を得ることができる。
そのためには沈黙を恐れないこと。
インタビューで相手が黙り込んでしまうのはどうにも不安なものだ。が、そこはぐっとこらえてみよう。そこまでの流れが順調にきているのなら、その沈黙は相手が一生懸命に考えているサインである。相手は今まさに何かを発見しかかっている。やがて、ポンと弾けるように相手が言葉を紡ぎだす。「おぉ?、そうかあ」とお互いが発見を共有する。
そんなインタビューが理想のインタビューだと思う。
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