ユーザー事業者数30万超。約90万種類もの商品を扱い間接資材のAmazonともいえる存在がMonotaRO、流通の仕組みが遅れた分野にネットで風穴を空けた革命児である。ただし革命には旧態勢力からの抵抗が付きもの。数々の試練に打ち勝ち、上場に到った同社の歩みを紹介する。
■日米大企業を手玉に取った駆け引きの妙
事業ドメインが決まり、ビジネスプランも練りあげた。さあ、これからというタイミングをまるで狙いすましたかのように、運命はもう一度、瀬戸氏を翻弄しにかかる。ネットバブルが弾けたのだ。
「もともと間接資材は総合商社じゃなく専門商社や問屋さんが扱うような商材です。だから、なんでうちが間接資材なんだって声は最初からあった。そこに間が悪いことにバブルが弾けちゃった。手のひらを返すように、このビジネスはうちの将来に関係ないじゃないかって方向に話が流れていきそうになりました」
しかし、ここからのねばり腰の強さが瀬戸社長の真骨頂である。氏はアメリカ滞在中に、間接資材を扱っている商社グレンジャーとしっかりコネをつけていた。同社はこうした商品だけを扱いながら6000億円もの売上を誇るナンバーワン企業である。
「グレンジャーに住友商事がネット通販に興味を持っているんだけれど、一緒にやらないかって話を持ち込んだんです。一方、社内ではあのグレンジャーが関心を持ってるんですよ、なんて上司に吹っかけていました(笑)。それならということで、とりあえず会社を作ってもらうところまではこぎつけました」
会社こそなんとか立ち上がったものの、打ち破らなければならない壁はまだまだいくつもあった。最初のハードルはシステム開発である。
「eコマースのエンジンはアメリカから買ってくるしかない。何社かが開発していましたが、どれも最低数億円します。しかも日本で使えるようにモディファイするには何億円もの追加コストがかかる。さらに電子カタログも商品を20万点ぐらい載せようと思えば、また億近いお金が飛んでいく。一体どうやってそんな大金を引っ張り出すか」
バブルが弾けてしまいネットビジネス全体に懐疑的な目が向けられていた最悪の時代である。海のものとも山のものともわからないビジネスに10億近くを突っ込むのは、企業としてあり得ない判断といっていい。
「途方に暮れていたら若いスタッフがASPでやりませんかって言い出したんですね。eコマースエンジンを日本のベンダーさんに買ってもらい、うちはそれを使わせてもらう。成功したらきっと我々に続く企業がでてくるから、なんてうまいこといって(笑)」
ウルトラCの連発で、何とか起業までこぎ着けた瀬戸氏だったが、その先にはまだまだイバラの道が待ち構えていたのだ。
⇒次回「資本金30億円のベンチャー」へ続く(全四回)
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FMO第21弾【株式会社MonotaRO】
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2009.03.10
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