橋下知事の一年と変化を嫌う心理

2009.02.13

ライフ・ソーシャル

橋下知事の一年と変化を嫌う心理

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

人間は慣れ親しんだやり方を変えさせられることに、心理的抵抗を強く感じるという。そこにズバッと切り込んだのが、大阪府知事・橋下さんだろう。この一年の橋下知事の府政に対する大阪府職員のコメントには、そうした人間心理が如実に表れているようだ。

にも関わらず大阪府の職員の方々は、やり方を変えられることに対して不平・不満を公然と口にする。確かに府の財政がここまで悪化した責任は、個々の府職員に帰せられるわけではないだろう。その時々に知事としてリーダーシップを発揮したり(その結果が間違った方向へ進むことになった)、あるいは何も発揮しなかった(それ故、なし崩し的に現状まで悪化していった)人がいるわけで、彼らがまずは責められるべきだ。。職員からすれば自分たちには責任はない、と主張するのも一理はある。

ただ、放っておけば倒産間違いなしの状況にあることが明らかなのだ。何かを変えない限り、状況が改善するはずもない。ところが、やり方を変えることに対する心理的ハードルは恐ろしく高いのである。

いきなりの単年度黒字決算

数字がすべてとは言わないが、とりあえず大阪府の財政は改善されたようだ。これは間違いなく橋下改革の成果である。橋下府政1年目、20年度決算について当初は赤字が見込まれていた。しかし最終的には黒字となる可能性が高いようだ。21年度については現状の大不況による大幅な税収減を計算に織り込んでも、予算レベルで黒字化のメドがついたようだ。

これだけはっきりとした成果が出ている橋下改革を、知事批判派の職員たちはどう評価するのだろうか。あるいは税金を払っている府民は、どう判断するだろうか。変えるというのは基本的に『やり方を変える』ことを意味する。逆にいえば『やり方を変えず」して、変化など起こせるはずがない。気持ちを新たにしてとか心機一転とかいうけれど、そんなかけ声だけで本当に変化を起こせれば世話はないのだ。

なぜ、変えることを嫌がるのか

世の中には二通りの人がいる。今までのやり方をさっと変えられる人と、なかなか変えようとしない人と。その違いはどこから来るのだろうか。おそらくさまざまな要因が絡み合っているはずだから、一概にこうだと割り切ることはできない。

個人的には、少しずつでもいいから毎日何かが変わっていないとつまらないタイプである。だから仕事のやり方にしても、いつも試行錯誤を繰り返している。変わることが常にプラス方向に働くわけじゃないこともわかっている。それでも、昨日も今日も明日も同じ日々が続く『シーシュポスの神話』的状態はいやだ。

とはいえ逆もまた真なりのはずで、毎日きちんきちんと同じことを同じように繰り返すことにこそ生きる意義を見出す人たちからすれば、日々コロコロ変わる生き方なんて無駄の極地なのだろう。

そういう見方があることは重々承知した上で、それでも何も変えずに同じことを繰り返していれば、それは座して死を待つことを意味する場合には変えなきゃイカンと思うのだけれど、違うのだろうか。

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

竹林 篤実

コミュニケーション研究所 代表

フォロー フォローして竹林 篤実の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。