今やマンションの必需品となった宅配ロッカー。そのシステムを日本で初めて立ち上げ、ダントツのシェアを誇るのがフルタイムシステム社だ。圧倒的なポジション獲得に到る同社の経緯に迫る。
コストや手続きの問題があって現時点では実現していないが、たとえば住民票の受け取りや電気代、ガス代などの公共料金の支払までも宅配ロッカーでできるようにしたいというのが、原社長の考えだ。
「宅配ロッカーの原理自体は、場所を選びません。だからマンション以外でも使えるところはいくらでもある。街中にロッカーを置いて管理センターとつないだら、それだけでいろんなことでできるでしょう」
▲宅配ロッカーのシステムを街中で活用すれば、用途はさらに広がる。
こうした発想で始まるのが街中での『フレンツ』、電動自転車の街頭無人貸出しサービスだ。同時に街中でのカーシェアリングサービスも開始するという。
「結局、うちの強みの源を辿っていくと、すべて管理センターに行き着くんです。センターとお客さんが24時間いつでもつながっている。この太くて強いパイプがあるからこそお客さんのためのサービスをいろいろ考えつくことができる」
今や宅配ロッカーの付いていないマンションでは売れない時代だ。原社長が宅配ロッカーを始めた20年前は、マンションに希望する設備の第一位は駐車場だった。それが今では宅配ロッカーに変わった。時代の流れは明らかに変化している。
「こないだはフランス、その前は確かドイツからお客さんが見えました。向こうでも宅配ロッカーを導入したいという声があるんです」
すでに韓国ではフルタイムシステム社が技術供与をした宅配ロッカーが導入済み。管理センターさえきちんと設置できれば、このシステムは世界中のどこでも活用できる。ヨーロッパでの展開もすでに離陸体制に入ったという。
同社の宅配ロッカーはすでにマンションだけの限られた世界を飛び出し、さらに日本から世界に羽ばたこうとしているのだ。
▲原氏が世界一周の旅をする際に書いた書。
~特集インタビュー
「宅配ロッカーシェア7割、フルタイムシステム驚異的成長の秘密」完~
『株式会社フルタイムシステム関連リンク』
・株式会社フルタイムシステム ホームページ
http://www.fts.co.jp/
・フルタイムロッカーユーザー向けコンシェルジュサービス フルナビ
http://www.fullnavi.jp/
・北海道・有機無農薬野菜の生産農場 フルタイムファーム
http://www.fulltime-farm.co.jp/
【Insight's Insight】
顧客の声に愚直なまでに応え続ける
『情報は対面』。原社長のモットーである。確かにインターネットが普及して、ネット上を行き交う情報量は爆発的に増えた。しかしビジネスに使える情報はインターネットではなく、あくまでもフェイストゥーフェイスでないとダメだと原社長は断言する。
同社成長の糧となった管理センターに飛び込んでくる顧客からの電話も、直接面と向かいあってこそいないものの生の声だ。肉声だから得られる何かはネット上を流れる情報とは決定的に違うのだろう。生身の情報の重さ、そこから伝わる感触のようなものを原社長は何より大切にしている。
宅配ロッカーのスタート時には、自らが夜中に電話番を務めていたという原社長。同社が次々と顧客から強く支持されるサービスを開発し、圧倒的なシェアナンバーワンをキープしている秘密は、愚直なまでに顧客の生の声を聞き続ける姿勢にあるはずだ。
◇インタビュー:竹林篤実/川村真理 ◇構成:竹林篤実
◇フォトグラファー:大鶴剛志 ◇撮影協力:㈱オンボード
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FMO第18弾【株式会社フルタイムシステム】
2009.01.13
2009.01.06
2008.12.22
2008.12.16