「ボールパーク」とは野球場のことです。 今日は、メジャーリークの事例をご紹介するので、 あえて英語で表現してみました。 さてさて、 ボールパークのセンターピン(成功のカギ) は、なんだと思いますか?
というのも、そこそこ人が入っていたとしても、
施設が大きすぎるために、相対的にスカスカに見えてしまい、
「混んでいる」ように見えないからです。
つまり、収容人数だけではなく、座席の稼働率、
端的に言えば「埋まり具合」も考慮しなければならないわけです。
このことに気づいたのがメジャーリーグの各球団でした。
(日経ビジネス、2007年6月25日)
たとえば、ニューヨーク・ヤンキースが建設中の新球場の
客席数は現在の1割減の5万1千人。今でもチケット入手が
困難な人気チームにも関わらずです。
同様に、ニューヨーク・メッツの新球場「シティーフィールド」
の客席数は、なんと2割減の4万5千人。
ボールパークは狭くしたほうが、稼動率が高まり、
結果的に総売上が高くなるというロジックですね。
実は、このロジックは、地方球団のサクセスストーリーに
よって証明されたことでした。
クリーブランド・インディアンズの本拠地、
クリーブランド市営球場は観客席7万4400の巨大施設でした。
アメリカンフットボールのクリーブランド・ブラウンズとの
共用施設として建設されたこの施設は、野球場としては
あまりに大きすぎたようです。
観客と選手との距離が遠く臨場感が味わいにくい。
また、ホームランが出にくいために、ゲームの面白さも
足りなかったようです。
しかも、チーム力も低迷していたこともあって、
1試合あたりの平均観客数は、1万人ちょっと。
テレビに映るガラガラの客席は、地元の人に
「いつでも入場できる」
という意識を植え付けて、さらに足を遠ざけることに
なっていました。
(また、あんなガラガラの球場で試合を見てもぜんぜん楽しくない
という気持ちも当然湧いたでしょうね)
しかし、94年に建設した野球専用の「ジェイコブス・フィールド」
では、客席数を4万3千人に絞りました。
また、ファウルグランドも狭めて、迫力あるプレー観戦も
実現しました。
そして、客席を埋め尽くしたファンの声援に押されて、
同チームの選手も大活躍します。
有名選手を獲得できるだけの資金がない分、
有望な若手を育成する方針もちょうど功を奏し始めてました。
結局、94年には1ゲーム差の2位という成績を収めます。
翌年も満員のゲームが続き、とうとうアメリカンリーグを制覇。
ちなみに、同チームの1試合あたり平均チケット収入(ドル)は、
93年のクリーブランド市営球場時代は約25万ドル。
ところが、94年、ジェイコブスフィールドに移った年は、
約57万ドルに達しています。
座席を約半分に絞って、売上は倍増したのです。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2015.07.10
2015.07.24
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。