ニンジンが嫌いな子供に母親は、その形状が見えないようにみじん切りや、すり下ろして料理に混ぜ込むなどの苦労をして食べさせる。そこで好き嫌いがなくなればよいのだが、そんな苦労をしても、子供から大人に成長すると食べなくなってしまう人も少なくない。 やはり、人は嫌いなものはどうやっても食べないのだ。ましてやそれが嗜好品だったら・・・。
かつてビールと言えばキリンであったものの、アサヒスーパードライのヒット以来首位陥落し、現在、発泡酒シフトをしていると言っていいだろう。
<キリンは発泡酒、第3のビールでは合計48.6%のシェアを持ち、2位のアサヒ(22.9%)を圧倒している。一方、ビール単体のシェアでは28.9%と、アサヒの50%の半分程度(2007年データ http://www.nikkeibp.co.jp/news/biz07q2/529996/ )>
しかし、その発泡酒を含めて、ビールカテゴリーともいうべき飲料から客離れが続いている。主たる離反層は若者だ。
キリンビールが2004年に行った調査を見てみよう。
<「20代のお酒の飲み方」に関する調査結果>
http://www.kirin.co.jp/company/news/01/15/041006_2.html
<好きなお酒ではビール(28%)がトップながら、カクテル(25%)、チューハイ
(17%)の人気が肉薄>とある。また、98年の調査と比較し<チューハイ、カクテルの人気が高まっている>と危機感を募らせ始めた。
その動きはさらに進行した。今年の中間決算ではサントリーを除く各社が、販売計画を下方修正した。
<若者のビール離れが進む? 販売計画も下方修正>
http://www.j-cast.com/2008/08/06024766.html
<価格の安い発泡酒や第3のビールにお客が流れていることが指摘されているが、最近では若者がビールを飲まなくなったともいわれている>という要因が主に指摘されている。
<キリン食生活文化研究所が4月にまとめた「新社会人の飲酒意識と仕事観」に関する意識調査によると、社会人1年生に「ふだんよく飲むお酒は?」と聞いたところ、自宅で飲むお酒のトップはチューハイ、飲食店ではカクテルだった。ビールは自宅で第2位、飲食店では第3位だった>という。
ビールのコクや味わいを追求してきたキリンビールが、「キレ」や「鮮度」という新たな価値観を持ち込まれ敗退。価格優位性がある発泡酒に牙城を築き、一矢報いたものの、その発泡酒すら飲まれなくなってきたという状況が今日だ。
発泡酒はビールの代替として、「いかにビールらしい味わいやのどごしを再現するか」に注力されていたのが事実だろう。しかし、その味自体が忌避されるようになってしまっては、全く新たなポジショニングを取る以外に生き残りの路はない。
そしてその答えが「キリン Sparkling Hop(スパークリングホップ)」なのだろう。昨年10月に発売され、今年の11月26日にリニューアル発売された。
http://www.kirin.co.jp/brands/sparklinghop/index.html
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。