2008.10.10
「ストックオプションを査定する!」
山本 亮二郎
~ベンチャー企業への転進を目指す方のための講座~
ベンチャー企業に転進する場合、現在の年収よりも報酬が下がることは珍しくない。スタートアップやアーリーステージのベンチャーを志向する場合には、その傾向はより顕著になるだろう。従って、目先の報酬だけが基準になるなら、ベンチャー企業のリクルーティングは大手企業などに比べ圧倒的に不利である。
しかしながら、洋の東西を問わず、新しい産業は営々と誕生し、発展し、時に衰退もしているのであり、新産業(はじめは零細企業だが)に身を投じる人たちが、それも数多くの人たちが存在することなくして、経済の発展はなく、今は巨大な企業も、その誕生はなかったはずである。
今では何万人、何十万人という社員数を擁するトヨタやソニーのような大企業も、当然ながら初めはせいぜい数名の、小さな会社だったのである。そのような会社に入社した、少なくとも最初の数十名から数百名くらいの人たちがいなければ、どんな大企業も誕生していない。
それでは、なぜ、かくも小さな会社で働こうとする人々がいるのだろうか?
私は、PE&HRという会社に所属しており、当社ではまさに数名からせいぜい数十名くらいの創業段階の小さなベンチャー企業から人材採用の相談を受け、そのような小さな会社で働きたいとする人たちだけに対して求人ポジションを紹介するという、自らあえて言わせていただければ極めて「奇特な」サービスを展開している。
従って、過去累計すれば、数千人に及ぶ、そのようにして新産業を支える人材の属性や傾向についての情報が日々蓄積されている。その立場で、なぜ人は明日をも知れぬ小さなベンチャーに向かうのかという問いに答えるなら、それは「起業家魂」とでも言うほかにない。
出来上がったものには関心がなく、ゼロのもの、よりそれに近いものを求めて止まない、起業家精神と類似の魂は、おそらくどの人間の中にも大なり小なりあるものだろう。その傾向が非常に強い人たちが必ずいる。この人たちは、もはや起業家と遜色がない。
当社のような小さな会社をみてとればそれは明らかであり、5年前に私がマンションの1室で起業した直後に入社した者が、今も大活躍しており、1年目の終わりに3人目のメンバーとして入った者は、結婚し子供ができた。彼らは、自分が大きく関わって事を成し遂げたいと思っているのであり、きっと自分が作った会社だと思ってもくれているのではないかと思う。
このような人たちが、絶対にベンチャー企業を支えており、苦しいこともたくさんあるが故に、そこにはたくさんの感動的な物語もあり、その物語が、やがて企業をより強く結束させもする。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2008.12.02
2008.12.15